タイトルにAI関連の単語を含む本について、ジャンル別で発売数を調べてみます。タイトルまたはサブタイトルに「AI」「生成AI」「ChatGPT」のいずれかの単語を含む本が該当します。
コンピュータが最も多く85冊で、AIエージェントや各種AI系ツールも含まれています。続いてビジネスが68冊です。エンジニアやIT業界だけでなく、幅広い人においてAIへの関心が高まっているといえるでしょう。
社会科学では法律や法務に関する本が多く、3位となりました。医学と工業は特定業務の専門書が中心ですが、需要の底堅さが分かります。社会一般は人間や生活への影響に関する本が多く、児童図書として子供向けにAIを解説する本が増えました。新書はさまざまな分野を扱っていますが、AIに関する本は少ないです。
資格・試験も順位が低く、多くのAI系資格が乱立している現状に対して対策本は少ないです。また、イラストやデザインなど創作分野に関する生成AIの本も少ないです。創作分野では特に、生成AIに批判的な意見も多いことも一因かもしれません。
ここまでで25年におけるAI関連本について、概要が分かってきました。では実際にどんな本が売れて話題になったのでしょうか。
ここまでのAI関連本のタイトル別発売数は公開されたデータから集計できます。しかし、人気や話題性において、本の初版部数や増刷による累計発行部数や電子書籍版の売上は出版社しか把握できません。たとえ生成AIを使っても調査できる範囲は限定されます。
そこで各書籍の人気や話題性について、日々SNSでAIに関する情報を調べ、定期的にジュンク堂書店池袋店で新刊本をチェックし、これまで4冊の本を出版した筆者の知見を元に手動で調べてみました。下記が調査方法となります。
まず「人気や話題になった本」の基準ですが、「出版社の発表で5万部以上の売上が公表されている」「Amazonレビューが100件以上ある」を目安とします。5万部の売上ですが、出版業界における本の初版部数は、ビジネス書で3〜5000部、技術書で2000〜4000部、専門書で1〜2000部と推測されます。発売後に人気が出て、増刷が5〜6回行われれば、相応の売上になるでしょう。
これを基準として人気と話題のあるAI本が分かりました。以下に紹介します。
ビジネスパーソンに向けて生成AIを仕事で活用することに特化した内容で、メールや文章作成、資料作り、データ分析と調査、情報管理など、さまざまな用途が紹介されています。著者はExcelに関する本でも実績があり、安心と信頼があるのも強みでしょう。
生成AIをうまく使いこなすには、技術が必要です。この書籍では幅広い状況や場面に応じて、生成AIを使いこなす技術を紹介しています。仕事だけでなく日常生活にも役立つノウハウが網羅されており、「鈍器本」と呼ばれる非常に分厚い本なのも特徴です。
海外在住の著者の視点から、生成AIが進化を続けるその後について、独自の視点で解説した本です。外国の事例や状況などが豊富に紹介されており、著者以外にゲストによる視点も面白いです。いずれやってくる将来を考えるのに、役立つ内容といえるでしょう。
これらの本は、仕事における生成AIの活用法や、AIが進化した社会における展望などを解説しています。「個人で生成AIをどのように仕事に生かすか」「AIで自分の将来にどんな影響を与えるか」は、SNSやYouTubeでも注目を集めやすい話題です。
同様の本は他にもありますが、この3冊は既に著者に実績があったり、他の本と差別化できる特徴が人気の要因と推測できます。
一方、ここで紹介した3冊よりも売れており、話題性も大きい本が4冊あります。
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