生成AIの普及によって、消費者向けのアプリやWebサービスでも頻繁に見られるようになった「AIに何でも相談できる機能」。一見、ユーザーの疑問や課題を手軽に解決できる手段にも思えるが、実際はそうでもないようだ。スタートアップのマイベストとUbieは1月28日に開催したイベント「AI時代のプロダクトマネジメント反省会 成功も失敗も語るしかNight」で、それぞれが経験した失敗談を紹介。講演資料も一般公開した。
商品比較サービスを展開するマイベストと、症例の検索・相談ができるAIチャット「ユビー」を提供するUbieはそれぞれ、利用者が文章で要望を伝えられるAIチャット機能をtoCプロダクトとして提供。しかし、どちらも継続利用はされず、当初想定していたような成果は得られない事態に陥ったという。
マイベストでは、「しっかりと乾燥させたい人におすすめの20万円以内のドラム式洗濯機を教えて」など、具体的な条件を入力するだけで最適な商品を提案するAIチャットをリリースした。最初こそ物珍しさで使われていたが、実際は「おすすめの洗濯機は?」など、簡素な入力で済ます利用者が多く、AIチャットの継続利用率は日々下がっていった。
このことからマイベストは「ユーザーが自分の欲しいものを言語化して、チャットに入力するのはハードルが高かった」と分析。いかに利用者に“入力をさせないか”が重要だと分かったため、サジェストや逆質問をすることで、利用者の頭の中にあるものを一緒に言語化するようなUIへと変更していった。
一方Ubieでは、AIチャットのユビーが「今日はどんなことを話したい?」と利用者に問いかける仕様を実装。これによって利用者が積極的にAIチャットに書き込むことを期待していた。しかし結果は真逆で、多くのユーザーが一言も入力せず離脱し会話が始まらない状況になった。
Ubieはこの結果について「自由すぎるUIは、不親切。ユーザーは何ができるか分からない」と分析。具体例を示すなど、使い方を想起させる必要があったと振り返っている。改善策として、会話中に選択肢を提示したり、ユースケースを示したりすることで、どうやってユビーを使えばいいかを明確にしたところ、利用率は向上していったという。
公開中の資料ではこの他にも、AI機能を巡る「仕様の複雑化のわな」や「品質が安定しない」などの失敗事例を紹介している。資料はそれぞれ、スライド共有サービス「Speaker Deck」で公開中だ。
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