小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
“使えないAI”から脱却? 2026年注目の「ドメイン特化型モデル」巡る動向を解説(1/5 ページ)
2023年3月、米Bloombergは金融業界に特化したLLM「BloombergGPT」を発表した。金融の専門用語や市場の機微などに対応するため、40年以上掛けて蓄積した独自データを活用。金融に関するタスクで、当時の汎用的なLLMよりも高い性能を示したという。
BloombergGPTは、「ドメイン特化型モデル(DSM: Domain-Specific Model)」の先駆けの1つだ。DSMは金融や医療、法務といった特定の分野(ドメイン)で使う用語・文体・業務手順・評価基準に合わせて設計・学習・調整する。汎用モデルが広く浅く知識を学習するのに対し、特化型は対象領域の専門知識を重点的に学び、専門タスクで高い正確性や一貫性を実現する。
調査会社の米Gartnerは、26年以降の5年間を形作る10のテクノロジートレンドの1つとして「ドメイン特化型言語モデル(Domain-Specific Language Models)」を挙げている。また27年までに、企業が使用する生成AIモデルの50%以上が、特定の業界または業務に特化する(ちなみに23年時点では約1%)と予想している。
ただ企業のAI導入の現場では、ChatGPTの頭脳であるGPTシリーズのような汎用モデルと、外部データを参照してAIが回答する「RAG」を組み合わせて活用するケースが大半だろう。金融業界でも、個々の金融機関での取り組みはある一方、BloombergGPTに続くトレンドは生まれていない。
26年には、どこまでDSMの普及が進むのか。背景となる技術・市場動向と業務ニーズを整理した上で考えてみたい。
DSMの背景にある“3つの変化”
ここにきてDSMの普及が期待されている背景には、最近進んでいる3つの技術的な変化がある。
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小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
生成AIやメタバース、新たなサイバー攻撃など、テクノロジーの進化が止まらない。少しずつ生活の中に浸透し、その恩恵を預かれることもある一方、思いもよらない問題を生み出すこともある。このコーナーでは、さまざまな分野の新興技術「エマージング・テクノロジー」について、小林啓倫氏が解説する。
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