「この絵、生成AI使ってますよね?」──“生成AIキャンセルカルチャー”は現代の魔女狩りなのか 企業が採るべき対策を考える(4/4 ページ)
キャンセルカルチャーはクリエイターを守るのか?
こうした対応を行っていれば、企業が炎上の発生を回避したり、発生した場合もダメージを最小限に抑えたりすることが可能になるだろう。しかしその場合、企業は安心できるとしても、人間のクリエイターたちにとって望ましい状況といえるだろうか。
ブルームズベリーの件では、Adobe Stockという、AI生成コンテンツが“そうとは認識できない形”で提供される可能性のあるサービスを利用していたことが、企業側の落ち度といえば落ち度といえるだろう。
そうなると、仮に企業が「AIが生成したコンテンツを使うと炎上してしまうので、それを使わないよう徹底する」という姿勢を示した場合、手作業で全てをこなすクリエイターであると認定された人物だけを使うのが最も安全だ、という結論になる。それはクリエイターの仕事を守るように感じられるかもしれないが、逆にそれを縮小してしまう恐れもある。
例えば、この方針を打ち出した企業は、これまで付き合いのある人間のクリエイターを、継続して雇おうということになるだろう。実績のないクリエイターを使ってしまうと、その人物が裏で生成AIを活用しているとも限らないからだ。その結果、これから企業向けの仕事を得ようとするクリエイターたちには、そのチャンスがなかなか巡ってこなくなってしまう。
また「全てを手作業で行うように」という条件で縛られたクリエイターは、仕事をAIで効率化する道が断たれることになる。その結果、一定の期間で対応できる仕事の量が減り、1本当たりの料金を上げざるを得なくなるだろう(それに対応してくれる企業ばかりであれば良いが、中には人間のクリエイターを雇うコストや、上記のようなトレーサビリティーを構築するのにかかるコストを負担できなくなる企業も出てくるはずだ)。
さらに言えば、AIを使った新しい表現にチャレンジできなくなるという点も、創造性という点ではクリエイターにとってマイナスだと考えられる。
生成AIによって、誰かの著作物が不当にコピーされて使用されるなど、法的な問題が起きることにはもちろん対処すべきだ。しかし単に「AIを使ってほしくないから反対する」というキャンセルカルチャーは、結果的に人間のクリエイターすら不幸にしてしまうのではないだろうか。
AIが創造的な作業をこなせる能力を持つに至ったのは、もはや否定できない事実だ。それとどう向き合えば、企業とクリエイターの双方が幸せになれるのか、冷静に話し合う時期に来ているといえるだろう。
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