米GoogleはStreet Viewサービスをめぐり、英国で激しい批判にさらされている。一部のユーザーから、「プライバシーが侵害された」との苦情が寄せられているのだ。
英国では3月20日にStreet Viewサービスが始動したが、翌21日には、ユーザーからの苦情を受けて、多数の写真がStreet Viewから削除された。例えば、ロンドンの繁華街ソーホーのアダルトショップから出てくる男性が写った写真や、パブの前の道路で嘔吐(おうと)している男性が写った写真などだ。
米国では、Googleをプライバシー侵害で訴えていたボーリング夫妻による訴訟が棄却され、Street Viewをめぐる問題は沈静化の方向に向かっている。だが英国での激しい抗議には恐らく、大西洋をはさんだ隣国のユーザーらが問題に気付いていないのではと懸念する多くの米国ユーザーの声も含まれているのだろう。
わたしとしては、自分がパブの外で吐いている様子をGoogleが撮ってくれたらなあと思うぐらいだ。そうすれば、わたしだってたまには外出していることの証明になるだろうから。
だが今回の騒動は1つ重要な問題点を提示している。それは、「Webサイトに投稿されたコンテンツについて、それを削除する責任を誰に負わせるべきか」という問題だ。
YouTubeに関しては、Googleは基本的には著作権保有者に対し、「あなたが著作権を有する動画がYouTubeに掲載されている場合は、報告してくれれば当社で削除する」と説明している。
つまり、この場合、責任は著作権保有者に委ねられているということだ。わたしに関する限り、これで問題はない。結局のところ、著作権保有者の多くは概して多国籍の巨大複合企業であり、知的財産の保護は業務運営コストの一環で行われている。それにYouTubeの場合、ユーザーがどのようなコンテンツをサイトに投稿するかをGoogleが完全に管理することはできない。
だがStreet Viewの場合はまったく事情が異なる。第一にStreet ViewのコンテンツはGoogleが自ら用意しているものであり、従ってGoogleは自ら管理することが可能なはずだ。それに、率直なところ、わたしにはGoogleのStreet Viewの画像をあちこち見て回って、何か不面目な場面で自分の姿が撮られていないかを確認する時間などない。
この問題に対するGoogleの対応はいささかお粗末だ。同社の方針は、「何か気に入らない画像が見つかった場合には、当社のツールを使って報告してくれれば、われわれの側で削除する」というもの。Googleの広報担当者はこの方法について次のように語ったという。
われわれはプライバシーの問題を非常に深刻に受け止めている。だからこそ、英国でStreet Viewを発表した際には、不適切と思われる画像を削除するための使い勝手の良い手順について説明した。“問題の報告”というリンクをクリックして、不適切な画像を報告してくれるだけでいい。
だがStreet Viewに関しては、Googleにはその内容を自ら取り締まる道義的責任があるとわたしは考えている。
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