MicrosoftのInternet Explorer(IE)が今週で15周年を迎える。1つのソフトウェアが業界を変えるドラマの中心に立たされてきたというのはなかなか想像しがたい。終わりのないように見えるブラウザ戦争だけではない。IEとWindowsの抱き合わせが米司法省対Microsoftの世紀の独禁法訴訟の争点となったことを思い出してほしい(忘れようがないだろうが)。
IEが人々のWebライフの非常に大きな部分を占めている――FirefoxやGoogle Chromeの挑戦を受けながらも、IEはブラウザ市場でかなりのシェアを握っている――ことを考えると、同ブラウザが1995年8月のリリース当初、小さな存在だったこと忘れるのはたやすい。当時1Mバイトの大きさで、グラフィックスやニュースグループを表示することもできなかったIE 1.0は、おまけのように見えても仕方ないものだった。このバージョンは、「Windows 95 Plus! Pack」に入っていた「Internet Jumpstart Kit」(後の「Internet Connection Wizard」)の一部としてインストールされていた。
IEは初期のWebブラウザ「Mosaic」をベースにしている。MicrosoftはSpyglassという小さな企業からMosaicのソースコードのライセンスを受けていた。Microsoftが後にIEを無料で配布するようになると、Spyglassはライセンス料の逸失をめぐって訴訟を起こした。
だがそのとき以来、IEは複雑になっていった。1995年11月にリリースされたIE 2.0の正式版は、ニュースグループ、cookie、JavaScript、フレーム、SSLをサポートしていた。それから1年弱で登場したIE3は、.gif、.jpgファイル、MIDIサウンドファイル、オーディオストリーミングに対応した。1997年にIE4が出たころには、もう1つマルチメディア機能の層が増えていた(Web Publishing Wizardは今どこにいるんだろう?)。
1998年に、MicrosoftはWebブラウザとWindowsのバンドルをめぐり独禁法訴訟を起こされた。同社はIEとWindowsは相互に依存していると主張していたが、最終的には2001年に米司法省と和解した。だがこの訴訟は後々にも微妙な形で影響を残している。Microsoft幹部が新たな計画について説明するときに「選択」という言葉をよく使っている(「われわれは顧客に選択権があることを分かっている」など)のも、そうした影響の1つではないかと思う。
だが独禁法訴訟を取り巻く報道にもかかわらず、IEは市場で圧倒的優位を保ち続けた(このときにはNetscapeは完全に粉砕されていた)。IEのシェアが深刻に脅やかされるようになったのは、FirefoxやGoogle Chromeなどのブラウザが台頭してからだ。
とはいえ、それほど脅かされているわけでもない。少なくとも今はまだ。調査企業Net Applicationsの推定では、IEの7月のシェアは60.74%で、6月の60.32%から増加している。Firefoxの同月のシェアは22.91%で、Chromeは7.16%、Safariは5.09%、Operaは2.45%だった。
だが、もしもIEの歴史が何かを証明しているのだとしたら、それは「物事は変わる」ということだろう。Microsoftは9月15日にサンフランシスコで大々的にイベントを開き、IE9の公開β版をリリースする。同ブラウザの改良――高速化、互換性の向上、標準準拠、HTML5サポート強化が盛り込まれているという――により、当面シェアを維持できると同社は期待している。
「IE6は9年前の腐った牛乳」――Microsoftがアップグレード呼び掛け
IE6の“葬儀”行われる Microsoftから献花もEditorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
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