第3回 本当に何かを“止めたい”なら苦痛を使う先延ばし撃退Part2(2/2 ページ)

» 2008年04月16日 10時22分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]
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房野 音楽を聴きながら原稿を書く人は結構います。

 音楽を聴きながらジョギングするのも、まさしくそれです。走ることを音楽という快を結びつけています。なかなかウオーキングしたいのにできない人は、自分の好きな街に行ってウインドーショッピングをするとかでもいいじゃないですか。

 結果が快なのはオーソドックスです。やせたらいいね、英語が話せたらいいいよね、運動してスッキリできたらいいよね、こうなれたらいいよね、というのはオーソドックスです。将来の快を考えてがんばりましょうという考え方は確かにありますし、そもそも快じゃなかったらやりません。何かしようとしたけど、やっぱりいいや、というのは、それほど快ではない、という気づきですね。

 それはいいんですが、大抵の人が、「こうなるために、仕方ないからこの行動をしなきゃ」となる。仕方ないから、がんばって3キロ歩かなきゃとか、英単語を覚えなきゃとか、このリポートを書かなきゃとか。ここが苦痛と結びついています。

斎藤 その苦痛の部分、行動自体を、苦痛ではなくて快に持っていく、というわけですね。

 まずはニュートラルですね。ニュートラルとも言えるし、習慣とも言えます。気が付いたらウオーキングしていた、みたいに。例えば、歯を磨くのに、毎朝、決意しますか? 「今日は朝、歯を磨くぞ!」なんてことはしませんね。それこそ「あれ、今日、歯磨いたっけ?」と、覚えていないけれど磨いているときだってありますね。そんな感じにしたいですね。快でもないけれど苦痛でもなく、歯磨きみたいにしたい。歯磨きみたいに英会話、歯磨きみたいに運動、歯磨きみたいに歩いている−−歯磨き状態にしたいですね。

 最後までやらなくていいよ、効果が出なくていいからさ、となったら、楽しくはないかもしれないけど、苦痛ではない。そして、何よりもここでの大きな効果は、ニュートラル、習慣になるにも増して、セルフイメージが上がることです。

 セルフイメージが上がるというのは、自信がつくとか、「自分はできる」と思えることです。やることが1週間、2週間と続けば、自信がつくじゃないですか。「1日1冊本を読む」でも、ちゃんと読まないけど読んだということにしておいて、今日も続いた、今日も続いたと、30日くらい本を読んだことにしてみてください。相当、自信がつくはずです。もちろん、これは本好きな人には当てはまりません。好きな人は自分の好きなようにちゃんと読めばいいですね。本が嫌いだけど、ビジネス書くらい読まなくてはいけないという人向きです。

平本 実際にちょっとやってみましょうか。房野さんには、この行動を増やしたいということはありますか?

房野 掃除機をかける回数を増やしたいです。

平本 では、掃除機をかけることと快を結び付けたいですね。好きなお香をたきながら掃除機をかけるとかはどうですか?

房野 もったいないですね(笑)

平本 だったら、好きなドラマをそのときだけ再生するとか。音楽を聴くとか。

房野 音楽は聞こえなくなっちゃうから、やっぱりお香ですね。

平本 では、しばらくは掃除機をかけるときだけしかお香をたかないようにしてくださいね。ちょっと想像してみてください。お香がここにありますので、立ち上がってもらって、掃除機を持って、スイッチを押すぞ、という瞬間まで想像の中で行ってください。今、まさにかけるぞ、というところで、お香に火をつけます。そして、ちょっと香りをかぎながら、しばらく掃除機を持って立っています。「ああ、これ、いい香りだな」と思ったら、掃除機のスイッチを入れてかけはじめる。掃除機をかけるアクションと、「いい香りだな」という快を結びつけます。

房野 いいですね、そうしよう。

平本 理想としては、掃除機かけ終わった瞬間、お香は消してほしいですね。掃除機をかけるといいにおい、という結びつきにします。

 このように、最初に、何が自分にとって快か、見つけ出してほしいですね。お香が好きとか、お香でも何の香りが好きとか、どの音楽が好きとかまで見つけてください。私は、エクササイズしながら好きなDVDを見たりします。好きというより、元気になるDVDですね。『ロッキー』とか『ブレードランナー』とか。一場面を見ただけでも元気になれるんだったら、そこと結びつけます。


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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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