みんなの疑問に答えます――先取りQ&A先読み『アイデアパーソン入門』(5/5 ページ)

» 2009年01月04日 08時30分 公開
[加藤昌治,ITmedia]
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ぶつかる/思い出すについて

分け隔てなく「ぶつかる」必要がある?

 「ぶつかる」は自分の思考やアンテナを取っ払い、いろいろな情報を分け隔てなく受け入れることでしょうか?


 まずは自分がピンと来たモノからでよいのでは。嫌いなことを自分ごと化するの結構大変ですから。徐々に興味関心の範囲を拡げていくことです。焦らずに。

「ぶつかる」にも打率ってあるの?

 出すアイデアに打率があるのは分かります。「ぶつかる」体験や知識にも打率みたいなものの考え方は適用できるのでしょうか?


 「ぶつかる」/目にしたもの=「ぶつかる」打率と捉えてみる考え方もあるし、結果どのくらい蓄積できたかの絶対量で測る考え方もありますね。方法はどうあれ、どのくらい貯まったかはアイデアパーソンにとっては大事だと思います。いわゆる「引き出しが多い」状態です。で、さらには引き出しの中身はときどき拡げて陰干しして……という棚卸し+整理+補充が必要です。「24時間循環風呂」化です。

「思い出す」ってこちらから仕掛けられるの?

 「思い出す」をこちらから仕掛けるとは、どういうことですか?


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 その先に何が出てくるかは分からないながら、目の前にいる人に、問いかけてみると、意外な記憶が甦ってくることがあります。「ねえ、昨日のお昼何食べた?」と聞いて「月見うどん」と返ってくる。すると「月見→国定忠治→麦か藁の笠→笠に書いてあった墨文字……」と、5年ぶりぐらいに、小学生時分の家族旅行の思い出がフッと出てくる(これはわたしの例ですが)。

 できるだけ具体的な単語、名詞や形容詞が返ってくるような質問をしてみるのが仕掛けのコツですかね。「最近美味しかったご飯」ではなくて「昨日の昼ご飯」やら「人生で一番お金を使ったディナー」など。具体的な問いには具体的な答えが返ってきます。それはそのまま、具体的な既存の要素、さらには具体的なアイデア……とつらなっていきます。

押さえる/ほるについて

「押さえる」「ほる」の方向って?

 「押さえる」「ほる」の方向感覚ってあるんでしょうか?


 普段使いの「押さえる」「ほる」だったら、もう適当に気の向くままでよいのではないでしょうか。緊急時の場合は多少なりとも効率的にやりたいでしょうから、お題が指し示す方向性には沿ってみるのが王道でしょうね。お題を出している人が知りたいだろうことをまずは、ですね。

「ほる」で専門家になったらほり続けなければいけない?

 「ほる」で専門家になれそうなのは分かりました。その後はやはりアップデートを続ける必要がありそうですが、自動化できるものなのかなあ?


 「ほる」ができていると、ある程度自分ごと化できているので、それほど苦労せずにアップデートできると思いますよ。ジャンルにもよりますが進化発展しないものはないので、追いかけることはしないとイカンですが。当たり前ですが、わたしたちの生活は日々どんどん変化していきます。その変化はある程度キャッチアップしていないと、アイデアパーソンとしての打率は落ちてしまいますね。

 とはいえ、実際はそれほどでもないはずですよ。カラオケだって、お気に入りのアーティストに関しては新曲を覚えるだけでいいんですから。自分ごと化ができていると、関連した情報は自然に目につくから不思議です。思っている以上に専門性はキープされる、あるいは深まっていくことになると思います。

ほりつくすのって大変そう

 自分なりの“尽くした感”が出てくるまで「ほる」のはかなりつらい作業だと思うのですが、それは楽しむあるいは機械的にやってしまうのどちらがよいのでしょうか。また、そのどちらかをするときのコツは?


 毎回尽くしていたら死んでしまいます。考古学の世界でも第〇次発掘隊、とやってますから一度に全部、じゃありません。せっかくの大切な時間とお金を使うんですから、仕事などでやむなくやる(やらされる)場合を除いては楽しい範囲で、を基本にどうぞ。

「ほる」の面倒です……

 「ほる」の面倒です。それではアイデアパーソンになれないでしょうか?


 まあ騙されたと思ってやってみてください。興味のあることから。ちなみに超・難しい専門書を読むことが「ほる」ではありませんよ。深度はいろいろ。ちょっとしたことでも「ほる」になりますから、そこは気を楽に。

「ほる」ことがどうやってアイデアにつながるのでしょう?

 趣味の領域で自分がすでに詳しいことが仕事上のアイデアにつながる実感がありません。「ほる」からアイデアにはどうやってつなぐのですか?


 詳しいこと、って2つの意味があると思います。1つは知識や事実ですね。アイデアには直結しないかどうかは分かりません。組み合わせてみるとヘンチクリンなんだけど、ちょっと惹かれる……なんてこともあるかも。アイデアとはまだ妄想の領域ですから、ひるまず合体させてみてください。

 もう1つは、あなたの専門性が理由となって、他の人とは違うものの見方ができたりすることです。見識、知見と書き表せるような考える態度、みたいなことです。星が好きな人だったら、何かを星座に喩えてみることが簡単にできたりしませんか。その喩え話はあなたしかできません。隣の人にとって、そしてあなた自身にとって猛烈なヒントになるかもしれませんよ?

何から手をつける?

 結局、私は何から始めればいいのでしょうか?


 さあ、どうしましょう? 答えはもうあるんじゃないですか?

編集部から

 書籍の発売前に読める先読み『アイデアパーソン入門』の連載、いかがだったでしょうか? 今回の先出しQ&Aでひとまず終了です。「まだ疑問が残ってる」「ここが分からない」という人は、ぜひトラックバックやはてなブックマークなどでご意見をお寄せください。もしかしたら加藤さんが「後出しQ&A」してくれるかもしれませんよ。


著者紹介:加藤昌治(かとう・まさはる)

 大手広告会社勤務。1994年、大手広告会社入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。著書に『考具』(阪急コミュニケーションズ刊、2003年)、『アイデア会議』(大和書房刊、2006年刊)がある。


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