橋にかける大陸横断の夢樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

前回に日本とアジア大陸に直結する橋やトンネルをピックアップした。今回はさらに範囲を広げ、世界の巨大な橋や長大な海底トンネルの計画について紹介する。

» 2010年01月28日 15時15分 公開
[樋口健夫,Business Media 誠]

 わたしが橋やトンネルに関心があるのは、スケールがでかいことだ。国や地域をまたぎ、緊密な関係な関係を作る。

 前回は日本とアジア大陸に直結する話をしたが、このほかにも、世界のさまざまなところで、巨大な橋や長大な海底トンネルの計画がある。今回はその話をしたい。

 有名なのは、ロシアの東シベリアと米国のアラスカの間をまたがるベーリング海峡(トンネル)だろう。最狭部はデジニョフ岬とプリンスオブウェールズ岬の間で86キロ。海底を結んだ場合の距離は100キロ強と言われ、現在世界最長である青函トンネルの53.8キロ、英仏海峡トンネルの50.5キロを大きく上回る。深さは30メートルから50メートルほどで、途中にリトルダイオミード島(米領)とビッグダイオミード島(露領)の2つ島がある。このベーリング海峡が通行可能となれば、今度はユーラシア大陸と南北アメリカ大陸がつながる。


海峡 最狭部
ベーリング海峡 86キロ
マラッカ海峡 70キロ
宗谷海峡 42キロ
ドーバー海峡 34キロ
スンダ海峡 24キロ
クック海峡 23キロ
津軽海峡 18.7キロ
ジブラルタル海峡 14キロ
間宮海峡 7.3キロ
ボスポラス海峡 800メートル

 ヨーロッパとアフリカをつなぐジブラルタル海峡でも海底トンネルが計画されている。最狭部が14キロと比較的幅が狭い海峡とはいえ、完成したらアフリカと欧州がつながり、経済的、文化的な影響は極めて大きいはずだ。ジブラルタル海峡とベーリング海峡に橋やトンネルが開通すれば、南米チリからアフリカの南端まで地続きになるのだ。

 このほか、平均水深が約25メートルと浅いマレーシアとインドネシアを結ぶマラッカ海峡(最狭部70キロ)、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡(最狭部24キロ)、ニュージーランドの南北島の間のクック海峡(最狭部23キロ)をつなぐ橋やトンネルの計画もあるそうだ。


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 巨大なつり橋にせよ、深いトンネルにせよ、日本の技術の発展がめざましい。特に海底トンネルの掘削技術は、日本が誇れる技術である。英仏海峡トンネルも日本の技術が活躍した。

 トルコのアジアとヨーロッパを結ぶボスポラス海峡では、第1ボスポラス大橋、第2ボスポラス橋に加えて、現在全長13.7キロのボスポラス海底トンネルが日本の建設業者にて進められているという。

 ボスポラス海底トンネルだけでなく、今後さらに日本の土木工事や建設会社が、世界に進出することが考えられる。日本の技術で早くスケールのでかい海峡をつないでほしい。ここまでで紹介した海峡間を、いつか自転車で渡るのがわたしの夢である。

今回の教訓

 日本が世界の橋渡し役。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら



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