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» 2010年11月18日 17時50分 公開

うまい棒よりは大きい:スティックタイプで新登場! ドキュメントスキャナ「ScanSnap S1100」を使ってみた (2/2)

[山口真弘,Business Media 誠]
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「給紙は1枚ずつ」「スキャンは片面のみ」。書籍の自炊には不向き

 さて、本製品には、従来のScanSnapシリーズとは大きく異なる特徴が2つある。それは「給紙は1枚ずつ」「スキャンは片面のみ」ということだ。

 まず給紙。前述の構造からしてたくさんの枚数をセットできないことはお分かりいただけるだろうが、実際のところセットできる枚数は1枚ずつとなっている。数枚の原稿をシートフィーダにまとめてセットし、順々に読み取る、ということができない。

 また前述の通り両面読み取りに対応せず、片面ずつ読み取る形になるため、原稿の両面を読み取ってやるためには2度スキャンしなくてはいけない。ボディのコンパクトさを優先した格好だが、複数枚をまとめてセットできない点とあわせて考えると、いわゆる書籍の「自炊」などに向いた仕様では決してない。自炊ユーザーについては、本製品は候補から外した方がいいだろう。

 といった具合に、上位モデルに当たるS1500やS1300とは、主な機能も用途もまったく異なっていることが分かる。ここまでくるとScanSnapというより別ブランド名でもよかった気がしなくもないが、ScanSnapシリーズ全体でさまざまなニーズを拾っていくという意図があるのだろう。いずれにせよ利用者の側としては、ボディサイズだけに目を向けることなく、こうした特性を理解した上で製品を選ぶべきだろう。

クラウドに対応、EvernoteやGoogleドキュメントへの転送が可能

USBケーブルでPCと接続し、給紙トレイを開けると自動的に電源がオンになり、ボタンが点灯する

 では、ざっと使い方をおさらいしておこう。ユーティリティをPCにインストールしたのち、USBケーブルでPCに接続する。バスパワーで動作するので、ACアダプタは必要ない。

 給紙トレイを前方に開くと、自動的に本体の電源が入る。原稿を真後ろに排出したい場合はそのままの状態で原稿をセットし、ボタンを押せばスキャンが開始される。表面を読み取ったあとに裏面を続けて読み取らせたい場合は、排紙ガイドを展開しておけば原稿が反った状態で手前に戻ってくるので、つづけて読み取りやすくなる。

 注意したいのは、給紙トレイにあるガイドの段差がわずかしかなく、斜行を防ぐ効果があまりないこと。うっかりしていると原稿が斜行したまま読み取られてしまう。ユーティリティ側で傾きを補正することはもちろん可能なのだが、幅がギリギリのA4サイズ原稿を斜行させてしまうと、スキャンが進むにつれ端の部分が折れ曲がりかねない。重要な原稿を読み取る際は注意したい。


USBケーブルでバスパワー駆動するため、ACアダプタは必要ない。なおUSBハブ経由だと動作しない場合があったので、なるべくPC本体のUSBポートに直結するようにしたい。原稿は手前から挿入する。ちなみにキャリアシートを用いればA3までの読み取りにも対応するが、キャリアシートは本製品では別売となっている

 読み取り速度については、S1500ほど「爆速」というわけではないが、そこそこ速い。A4サイズで1分間に8枚と、公称値ではS1300と同等だ。少なくとも、ハンディタイプにありがちなひ弱さを想像していると、思いのほか速くて驚く。ただし片面読み取りなので、両面印刷された原稿をスキャンする場合は2倍プラスアルファの時間を要する点は注意したい。また、エクセレントモードで読み取り速度が低下する点については上位モデルと同様だ。

ユーテリィティ「ScanSnap Manager」には新たに「手書きメモをEvernoteに保存」「ドキュメントをEvernoteに保存」「Googleドキュメントに保存」などの選択肢。なお、この画面はS1500が導入済みのPCにそのまま上書きインストールした状態であるため、クリーンインストールした場合とは一部選択肢が異なる可能性がある
「Evernoteに保存」の設定画面。OCRのオプションが設定できる

 ユーティリティについては従来製品と同じ「ScanSnap Manager」を採用しているが、読み取り中の画面デザインは一新した。ちなみに従来モデルとの2台以上同時接続はサポートしていないようだが、いったんUSBケーブルを抜いてもう1台のモデルを接続する形、つまり交換しながらの利用は試した限りでは問題なく行えた。ただし使い方としてはイレギュラーであるので、あくまでも参考程度にしてほしい。

 また本製品はクラウド対応が1つの目玉になっている。具体的には、読み取ったファイルをそのままEvernoteやGoogleドキュメントに転送できるというものだ。従来製品でも読み取り後に起動するアプリケーションとしてEvernoteを指定しておくことで連携を実現できたが、テキスト認識の有無などオプションを指定できるようになったのと、Googleドキュメントに対応した点が新しい。

 さらにSalesforce CRMとの連携にも対応しているので、会社がSalesforceを利用しているのであれば、付属ソフトである「名刺ファイリングOCR」などと連携し、名刺情報をダイレクトに保管するといった使い方が可能になる。ちなみにSalesforceは「Enterprise以上のバージョン」とのことで、フリー版などでは利用できない場合があるので、導入前によく確認したい。


「Googleドキュメントに保存」の設定画面。Googleアカウントを入力しておく。右は読み取り中を示す画面。これまでとはデザインが変更されている

1枚給紙&片面読み取りのハンデを補ってあまりある完成度の高さ

持ち運び用の専用ソフトケース

 以上ざっと使ってみたが、1枚給紙&片面読み取りというのは確かに上位モデルに比べるとハンデではあるのだが、どちらかというと用途の違いに起因する問題であり、片面の原稿、あるいは両面でも少部数の原稿を取り込むぶんにはなんら問題ない。

 たくさんのページ数を持つ裁断本をガンガン取り込みたい自炊ユーザーが本製品を買ってしまうとさすがに悲劇だが、そうでなければむしろ本体のコンパクトさのメリットがそれらのハンデを補ってあまりあるというイメージだ。細かいところの作り込みも含めて「さすがScanSnap」といった安心感がある。

 既存のScanSnapユーザーにとっても、手持ちの書類をひととおりスキャンし終えてしまい、あとはハガキや名刺やレシートなど日々発生する紙の束をちょこちょことスキャンしていくだけなら、本製品に買い換えるという選択肢も悪くないと思う。家ではS1500/S1300、外出先ではS1100という選択肢も含めて、幅広くおすすめできる一台だ。

 ただ昨今のスマートフォンの普及やPCレスで仕事を進める流れからすると、若干残念なこともある。それはドライバの問題だ。せっかく持ち歩きできるS1100だが他社製品とは異なり、ドライバをあらかじめインストールしたPCでなければ利用できない。

 PFUはWindows版のドライバをWebサイトで公開していないので、外出先のPCなどで利用する場合はドライバの入ったメディアを持ち歩き、いちいちインストールしなければならない。またiPhoneやAndroid端末といったスマートフォンへの対応も現時点では未知数だ。せっかくの携帯タイプなので、このあたりの改善が行われれば、使用シーンも拡大するのではないだろうか。

 もう1つ細かいツッコミを入れるとするならば、わりと無愛想な作りのUSBケーブルである。別売の専用ケースはスキャナを取り出さなくともケースに入れたままスキャン可能という、かなり凝った作りになっているのだが、ケーブルだけはまったくの汎用品で、ケーブルタイで固定して別途持ち歩かなくてはいけないのはちょっと残念。必要に応じ、巻取タイプのUSBケーブルと交換して利用するのも一興だろう。


ケースに入れたままの状態で使用できるほか、入れたままの状態で側面のフタを開けてUSBケーブルも接続可能

付属のUSBケーブル。できれば持ち運びを前提に巻き取り式などにしてほしかったところ。右の写真は、使っているうちになんとなくキーボードの上端が定位置になってしまった図

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