“使われている”と思わせない、部下をその気にさせる「ゆさぶり力」若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門(2/3 ページ)

» 2012年12月03日 09時00分 公開
[吉田実,Business Media 誠]

メンバーの特性を見抜く、観察力

 皆さんに求められるのは自分自身が歯車になるのではなく、動力になる努力をすることだ。また上司に求められるのは歯車を育てるのではなく、動力になれる人を育てることだ。これからの上司に求められるのは、一人ひとりが自分らしさを発揮し、彩(いろどり)豊かに組織で活躍できる人を育てることである。

 まず上司に求められるのは「自分の方が偉い」という意識を払しょくすることだ。確かに役割上では上司という立場柄、評価をしたり育成をしたりする責任がある。しかしながら、それは人間的に上であるということではない。今、職場に求められるのは、上司の指示に対して、言われたまま忠実に従うだけの人ではない。一人ひとりが、それぞれの強みを生かして価値を出す人である。上司はその人の“強み”を最大限に発揮するということに、全力を尽くさなければならない。部下は上司が便利に使える駒ではない。多様な部下を受け入れ、多様な部下を多様なままに能力を発揮させる力が必要なのである。

 では多様な部下を生かすことができる力とは何であろうか? それはメンバーの特性を見抜く「観察力」である。“強み”を見つける力と言ってもいい。価値発揮の時代においては、部下と対等な視線で接することができ、部下の“強み”を見つけることができる観察力が必要とされるのだ。

女性のやる気が高まれば職場も活気づく

 上司が部下を対等な立場で見ることができることが重要であるとお伝えしたが、皆さんの組織において、どのくらい実現されているかは女性社員のやる気を見るといい。女性が元気な組織においては、職場が活気づいている。過去において、男性の方が上で、女性は男性の指示に従うべきであるというような価値観を持っている人が多くいた。今でもそのように感じている男性上司も多い。口には出さないまでも、深層心理で「男性の方が偉い」と思っている。このような上司は女性社員に対して、対等な立場で見ていない。そのような職場では女性社員の潜在能力を最大に引き出すことはできず、女性社員が窮屈そうに仕事をしていることが多い。

 一方で、女性社員に対しても一人の人として、男性・女性の区別なく接している職場では全ての人を尊重する風土が醸成されていることが多い。上司の部下に対する接し方も同様である。これは男女や上司部下に限らず、外国人の採用においても同様だ。全ての人を無限大の可能性を持った人として受け入れる力が上司にあるか。上司には、多様な人材を受け入れる度量が求められている。

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