炎上させずにネット上でスマートに議論する方法3分LifeHacking

インターネットを使っていれば、少なからず議論に巻き込まれる可能性がある。そんな時、今回のアドバイスが武器となり、相手を打ち負かす確率を高めてくれるはずだ。

» 2013年01月11日 10時00分 公開
[Jesse Nivens(訳:大嶋拓人),ライフハッカー[日本版]]
ライフハッカー[日本版]

 インターネットは戦場だ。普段からインターネットを使っていれば、激しい議論に巻き込まれるのは珍しいことではない。そんな時、今回紹介するアドバイスが武器となり、相手を打ち負かす確率を高めてくれるはずだ。もちろん、冷静さはキープしたまま、他の人の迷惑にならないように注意しよう。

 原文筆者のJesse Nivens氏はこれまでグラフィックデザイナー、Webデベロッパー、ゲーム開発者、ライターなどさまざまな仕事に関わってきた。一方で、高校時代は学校代表ディベーターとして活躍した経験があり、インターネット上では「議論の達人」と言えるほどの腕前を持っているそうだ。そんなNivens氏が「インターネット上でスマートに議論する方法」を解説する。

比喩表現を使わない

 「それってつまり○○みたいなものですよね?」という比喩表現は絶対に使わないようにしよう。比喩はネット上の議論ではタブーなのだ。以下、その理由を説明する。

比喩表現の問題点

 比喩表現は、相手が自分の考えに同意している場合にはとても効果的に「言いたいこと」が伝わる。聞き手は無意識のうちに、自分と発言者の共通点を探して理解を深めようとする。

 ところが、相手が自分の考えに反対している場合、聞き手は発言者との違いだけに注目するため、比喩表現を使っても同意は得られない。こうなると、議論は「発言者の比喩表現はどう間違っているか」の論点にすり替わってしまい、本来の論点に戻るのが非常に難しくなってしまう。

 また、比喩表現は意図せず誰かを傷つけてしまう可能性が高い。インターネット上には多様な人がいるため、個人的に攻撃されたと勘違いするケースが多くある。こうなると、議論はすぐに脱線してしまう。

 「子どものようだ」とか「独裁者のような考え方」といった表現を使うと、「本当にそうなのか?」という疑問が生まれ、論点がずれてしまう。比喩表現は使わず、シンプルで伝わりやすい言葉を使うようにしよう。

 例として、次の2つの文章のうち、どちらの方が説得力があるか考えてみてほしい。

  • あなたがやっていることは、私に「迎えに来て」と頼んでおいて「来るのが遅い」と文句を言うようなものだ
  • あなたがやっていることは自己中心的だ

リンクを貼らない

 リンクURLを投稿しても、反対意見を持っている人に読まれることはない。リンクは同じ意見を持っている人やグループの中でのみ読まれると考えていいだろう。当然と言えば当然だが、反対意見を持っている相手が勧める記事なんて読みたいとは思わないはずだ。

 そもそも、ネット上の議論に参加するような人たちは、これ以上記事を読むつもりはない。彼らはもう既に多くの記事を読んでおり、だからこそ意見を持つようになった。彼らはその意見を戦わせたくて議論に参加している。繰り返すが、議論している相手があなたのリンクをクリックすることはない。

引用は多くない限りOK

 自分の意見を支えるために、有名人や知識人の意見を引用するのは効果的だ。特に、彼らの言葉があなたの言いたいことを短く正確に言い表している場合には特に有効となる。

 ただ、引用は短くしよう。長い引用文を投稿しても読み飛ばされる可能性が高いからだ。また、そもそも引用元の人物に賛否両論あるような場合には、気を付けてほしい。宗教を否定したアイン・ランド氏や、マルクス経済学で知られるカール・マルクス氏などを引用する時は、彼らの正当性に関して議論を始める覚悟が必要だ。

侮辱された場合の対処法

 議論しているときに、相手から「頭がおかしい」とか「子供っぽい」とか「独裁主義者」などと呼ばれたとしても心配はない。この時点で、あなたは議論に勝ったようなものだ。

 ここでは2つの選択肢がある。「相手にトドメを刺すか」「相手の侮辱にうろたえるか」だ。このような侮辱に対する対処法は以下の2つ。

1. ムキになって反応しない

 侮辱的発言は「相手の戦略」だと理解しよう。ムキになって反応したり、怒り出したりすればその場にいる全員が不快な気分になる。侮辱する人は、自分が議論に負けたことを分かっているからこそ、最後の手段としてこのような発言をするのだ。

2. 受けた侮辱を簡潔に否定する

 病気で仕事を休む時、本当につらい場合は簡潔に「病気で気分が悪いです」と上司に報告するだろう。反対に、仮病を使って休むときは「昨日10時に吐いて、朝の6時にまた悪化しました」というように、つい詳しく説明してしまうものだ。

 これは、「ウソをつくなら完ぺきで筋が通っているウソでなければいけない」という心理状態の現れでもある。本当のことを言っているなら、詳しい説明は必要ない。同様に、頭がおかしいと言われたら「それは違う」と簡潔に返すのが得策。順番としては、まず相手を論破してから、そのあと相手の侮辱を否定するようにしよう。「そういう話し方はやめてください」と付け加えるのも忘れずに。

質問をしない

 議論では、絶対に質問してはいけない。質問すると、相手がステージに上がってきて、自由にスピーチを始めてしまうからだ。こうなると、相手が好む角度から議論を進めることになる。

 これは比喩表現を使うべきでない理由とも関わってくるのだ、議論の場では「相手を無知だと思い、教育してやろう」という意識が生まれやすい。ただ、今どきの荒れた中学校を見れば分かると思うが、反抗的で学ぶ意欲がない生徒に何かを教えるのは無理がある。

 先生がどんな質問をしても、まともに返ってくることはない。同様に、議論で「相手を教育してやろう」と思う気持ちはなるべく抑えるようにしよう。何度言っても聞かない人は聞かないのだ。

 例えば相手の矛盾を指摘したい場合、「先週のことを棚に上げて、それは少し都合が良すぎませんか?」と言うのはやめよう。「そうですね」とは絶対に言わないからだ。代わりに、「先週のことを棚に上げて、それは都合が良すぎます」というように、質問ではなく言い切るようにしよう。

相手の質問に踊らされないように気を付ける

 議論で何か質問されたら、すべてワナだと思ったほうがいい。質問者は、自分自身を(正しくて賢い)先生だと思っていて、あなたを(無知で従順な)生徒だと思っている。

 この場合、彼らが言いたいことをあなたに言わせようとしているか、少なくとも彼らの論点につなげようとしている。あなたを都合よく使おうとしているのは間違いない。このような質問に踊らされてしまうと、彼らの論点にうっかり同意してしまい、議論に勝つのがさらに難しくなってしまう。

 このような状態に陥らないためにも、「何か言いたいことがあるなら、ハッキリ言ってください」と伝えよう。

耳ざわりなフレーズを使わない

 「少し自分の頭で考えてみたらどうですか?」や、「長いものに巻かれたいんですね」と言ったフレーズを使っても、あなたの意見が強くなるわけではない。また、人々を「皆さん」と呼ぶのもやめよう。

 そうした言葉は、エリート政治家や、経営者、メディア関係者だけが使う言葉で、一般人が聞いても耳ざわりなだけだ。このような人たちが使うフレーズをマネれば気分はいいかもしれないが、議論に勝てる可能性は低くなる。

投稿する前に簡単な確認をする

 インターネット上の議論では短文を素早く投稿していくのが普通だ。そのため、必ず結論から書き始める研究論文とは違い、投稿していくうちに徐々に結論が出るケースが多い。

 投稿する前に、最初の文章は短くて結論を含んでいるか確認しよう。結論を先に述べて、そのあと「なぜそうなのか」を説明する。それに合わせて、前述の比喩表現を使っていないか、質問をしていないか、耳ざわりなフレーズを使っていないか、などの項目も確認できればベストだ。

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