一度ハマるとやめられない人間工学キーボード+マウス――「Sculpt Ergonomic Desktop」ちょっと気になる入力デバイス(2/2 ページ)

» 2013年11月08日 09時00分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]
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リラックスしてタイピングできるキー配置

photo Sculpt Ergonomic Keyboard。中央部分が空洞になっており、左右の手をハの字に置く構造だ

 Sculpt Ergonomic Keyboardは、U字型にえぐれた中央部分に向かって盛り上がる立体的なデザインを採用しており、左手と右手をハの字になるように置くため、中央は扇形にキーを配置している。違和感があるかもしれないが、両手の力を抜いてキーボードに手を置くと、確かにこの形状がしっくりくるのだ。

 キーボードはメンブレン式で、6段配列の日本語109キーを採用する。主要キーのキーピッチは縦横19ミリ以上でキーストロークも約2ミリを確保した。キータッチはやや固めで適度なクリック感があるものの、タイプ音は比較的静かだ。キーボードの下が空洞になっているためやや強度に不安を感じたが、意図的に強く押し込まない限りは、キーボードがたわむことはなかった。

 主要キーはクセのない配列である一方、Enterキーのすぐ右にDeleteやInsertキーがあったり、Home、End、PageUp、PageDownが縦1列に並ぶ部分は気になる人がいるかもしれない。慣れないうちはBackSpaceキーを押そうとして、間違えてDeleteキーを押すことがたまにあった。

photo 主要キーはクセのない配列だが、Enterキーがやや小さかったり、Enterキーの右側が特殊な配列であるところは気になる。下段のキーは大きく、最上段のキーは小さい。Fnキーはなく、右上のスイッチでFnキーと特殊機能キーを切り替える。キーボードの手前には大きなパームレストがある

 CtrlやAlt、スペースキーといった最下段のキーが大きい一方で、最上段のF1〜F12キーなどはキートップの縦が7ミリと小さいところは惜しい。Fnキーはなく、右上のスイッチでFnキーと特殊機能キー(マルチメディアキーなど)の切り替えを行う仕組みだ。

 キーボードの手前には薄いクッション状のパームレストがある。ふかふかというほどではないが、表面の感触はとてもよい。キーボード底面に磁石で装着できるパームリフト(tilt legs)が付属しており、キーボードの手前側を高くできる。柔らかいパームレストがあるため、手前を高くして手のひらに力がかかりやすくなっても、痛くならないところはうれしい。

photophoto キーボード底面に磁石で装着できるパームリフトが付属する
photophoto パームリフトを装着するとキーボードの手前側がせり上がる

 本体サイズは約392(幅)×228(奥行き)×59(高さ)ミリだ(パームリフト装着時)。テンキーを別に用意するため、フットプリントが小さくデスクに置きやすい。独立型のテンキーはキーピッチも広く使いやすいが、これをキーボードの右側に置こうとすると、マウスと干渉しやすいのは悩ましい点だ。

 バッテリーは単四形乾電池2本で、裏面に収納スペースがある。バッテリー動作時間は約9カ月としている。レシーバーはSculpt Ergonomic Mouseと共通で、1つのレシーバーで両方(テンキー含む)を扱える。

photophotophoto セパレート型のテンキーを用意する(写真=左)。キーボードの右側に置くと、マウスと干渉しやすいところは悩ましい(写真=中央)。バッテリーは単四形乾電池2本で、裏面に収納スペースがある。フタはマウスと同様に磁石でくっつく(写真=右)

 付属ソフトの「Microsoft マウスキーボードセンター」では、指定したアプリケーションごとに操作を設定できる。アプリケーションによっては、あまり使わないボタンをアプリケーション特有のショートカットキーの操作に割り当てたりすることで、より使いやすくなるはずだ。

photophotophoto Microsoft マウスキーボードセンターでは基本的な設定のほか(写真=左)、アプリケーションごとに操作を設定できる(写真=中央、右)

ハマると手放せない機能性が魅力

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 本製品の価格は1万3440円(税込み)だが、発売から約2カ月が経ち、Amazon.co.jpなどのネットショップでは9000円台で販売しているケースもある。一般的なキーボードとマウスに比べて高いのは否めないが、手首や腕への負担が大きく減るのは間違いない。

 エルゴノミクスデザインのキーボードやマウスの多くは奇抜な形状をしており、使いにくいイメージを抱くかもしれないが、確かな魅力がある。本製品はキーの配置やサイズ、マウスの重量バランスといった細かい部分にまで配慮がなされた設計が見事で、デザインもシンプルでありながら高級感があるところも見逃せない。

 腱鞘炎で悩む人でなくとも、入力環境にこだわりたい人、仕事の能率を上げたい人など多くの人に勧められる製品に仕上がっており、初めてエルゴノミクスデザインを体験する人にもぴったりだ。エルゴノミクスデバイスに興味を持っている人はもちろん、今まで見た目でエルゴノミクスデバイスを敬遠していた人にこそ試してほしい。

テクニカルライター 王深紅のインプレッション

 久しぶりの新作となるエルゴノミクスタイプのキーボードだが、従来製品に比べてコンパクトに仕上がっており好印象だ。キーボードもしっかりとした作りで、強くタイプしてもたわまず、ひざに乗せて入力しても大丈夫だ。アイソレーションタイプのエルゴノミクスキーボードは本製品が初ではないか。キーストロークが従来製品よりも浅いのでノートPCなどからの移行もスムーズに行える。

 一方、DeleteキーやHome、Endキーなどはホームポジションのままで押すには離れたところにあったり、ラバー状のパームレストは汗や手脂で表面の劣化が激しそうなのは気になるところだ。

 球状のSculpt Ergonomic Mouseは握りやすく、Windowsボタンやサイドボタンは手触りだけで区別できるので扱いやすい。テンキーパッドはスタンドなどで傾斜をつけられるとなおよかった。ちなみに普段は右利きだが、電卓などは左手で入力している場合が多いので、テンキーパッドとマウスの置き場所で悩むことはなかった。


PC USER編集部Tのインプレッション

 刺激的なデザインと人間工学的な使いやすさ、相反する2つの要素をうまく融合し、セットとして成立させているのはお見事。ブラックで統一したカラー、斬新なフォルム、マグネットで開閉できるカバーやパームリフトなど、見た目も中身も「新世代のエルゴノミクスキーボード+マウスはこうあるべき」というこだわりが感じられる。

 キーボードの打ち心地は良好で、もちろん手首の負担は軽いが、ファンクションキーが小さく、Fnキーとの切り替えがスイッチ式なのは気になった。キーボードほど見た目の面白さはないが、球状のマウスも手にフィットして使いやすい。

 とはいえ、マウスはお気に入りの製品があり、テンキーは不要というユーザーは少なくないだろう。マウスもテンキーも省いたお手ごろ価格のキーボード単体モデルが個人向けでもあれば、なおよかった。


PC USER編集部Iのインプレッション

 モバイルマウスの「Wedge Touch Mouse」を始め、マイクロソフト製のマウスは完成度が高い製品が多く好感が持てる。このSculpt Ergonomic Mouseも例に漏れず、握りやすさや重量バランス、操作性といった基本をしっかりと抑えており、デザインや機能の多くに納得がいく道具に仕上がっている。

 キーボードも含めて、今までエルゴノミクスデザインの製品を使ったことがなければ、この快適さに驚くだろう。店頭で少し試すくらいでは実感が薄いかもしれないが、興味を持ったならば1万円払ってでもチャレンジしてみる価値はある。


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