スマートフォンやタブレットデバイスが多数登場してから、コンパクトなワイヤレスキーボードの需要が増えた。普段からPCを使っている人にとって、ソフトウェアキーボードは入力時の感触やタッチの反応速度といった面で問題があり、長文の入力には向かない。長文を入力する機会が多いならば、外付けのハードウェアキーボードは不可欠だ。ノートPCのキーボードと同じ感覚で扱えるし、ショートカット操作も楽に使える。
そういったユーザーのニーズから、周辺機器メーカーはさまざまな小型Bluetoothキーボードを市場に投入してきた。折りたたみ式のモデルから、受話器としても使えるモデル、レーザーを机上に投影するモデル、デジタルメモツールの「ポメラ」とコラボレーションしたモデルなど、例を挙げればきりがない。
今回は、エレコムが発売したシリコン素材のワイヤレスキーボード「TK-FNS040BK」を取り上げる。この製品は、NFC(Near Field Communication)接続に対応したキーボードだ。NFCはSuicaやPASMOといった非接触ICカードが使用している技術「FeliCa」などとの上位互換性を持つ近距離無線通信の規格だ。端末をキーボードの上に置くだけで接続し、文字入力が行える。
Bluetoothキーボードと比べると、接続時にペアリングなどの設定を必要としないため、セットアップが簡単で、消費電力も少ないというのがメリットだ。一方、通信可能距離がキーボードの表面から約10ミリとなっており、端末とキーボードが(ほぼ)接触していないと使えないといったデメリットもある。このNFCキーボードは実用に耐えうる製品なのか、チェックしてみよう。
TK-FNS040BKの本体サイズは341(幅)×65(奥行き)×8.6(高さ)ミリで、キーボードの中央に約135(幅)×65(奥行き)ミリほどのスペースがあり、この部分にNFC対応のスマートフォンを乗せてキーボードと接続する。対応OSはAndroid 2.3.4〜2.3.7、4.0以降。iOSには対応しない(iPhoneはNFCに対応していない)。重量は141グラム(実測値)。専用の収納ケースが付属し、3つ折りにして収納できるため、楽に持ち運べる。
使用するには、Google Playからアプリを2つインストールしておく必要がある。ドライバソフトの「ELECOM NFC Assistant」と専用の入力ソフト「ELECOM 日本語入力 powered by ATOK」だ(どちらも無料)。これらをインストールしたあとは、設定メニューの「言語とキーボード」から専用ATOK(ATOK for ELECOMと表示される)を有効にし、文字入力方法を専用ATOKに指定すれば準備は完了だ。キーボードの中央にスマートフォンを置くと、画面下側に「NFC Connected」と表示が出て接続を確認できる。置いてから接続まで1秒もかからないのは快適だ。
バッテリーは本体内蔵型で、ユーザーによる着脱には対応しない。バッテリー動作時間は約1年6カ月(1日あたり8時間使用した場合)だ。充電する手段もないため、基本的には“使い捨て”となるのは注意が必要だろう。
キーレイアウトはオリジナルの4段配列で、キーの数は全部で45個。「ホーム」や「戻る」といったスマートフォン用の操作を行うキーがある一方で、数字キーや記号キーがない。これらの文字は、Fnキーとの同時押しで対応しているが、タイピングのスピードはやはり落ちてしまう。特に痛いのが「ー」キーが用意されていないことだ。「Fn」+「下カーソル」で対応しているが、ひんぱんに使うので、標準でキーを用意してほしかった。
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