スマホを置けば即接続、世界初のNFCキーボード「TK-FNS040BK」を試してみたちょっと気になる入力デバイス(2/2 ページ)

» 2012年08月27日 16時00分 公開
[池田憲弘(撮影:矢野渉),ITmedia]
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意外に打ちやすいが、いくつか注意点も

photo NFC対応Android端末「GALAXY Note SC-05D」で実際に本製品を使ってみた

 では実際に使ってみよう。シリコン製なのでキーボードを押すと“くにっ”とキーがつぶれて文字が入力される。キーストロークも1ミリと浅く、クリック感はほぼないので、しっかりとした押下感を求めるユーザーには向かないかもしれない。ゆっくりとキーを押すと反応しないことが多く、ある程度勢いをつけて叩くと確実に入力できる。キーピッチは15ミリと、標準的なキーボードよりは多少狭いものの、となりのキーを一緒に押してしまうといったミスタイプはあまり起こらなかった。

 アルファベット部分のキー配列はノートPCと同様であるものの、中央に端末を置くスペースがあるため、キーが左右に二分している。TとY、GとH、BとNが離れているが、左手で打つキーと右手で打つキーで分かれているので、意外とタッチタイピングも楽に行えた。ただ、筆者の場合はYキーを左手で押すくせがあるため、Yキーを押すときに戸惑うことが多かった。

photophoto キーは左右で二分している(写真=左)。本体が薄いため、キーストロークも約1ミリと浅い(写真=右)

 このほか気になったのは、キーを押しっぱなしにしても連打にならないこと(文章修正時にBackspaceキーを連打するのは少し面倒)や、10秒ほど操作を行わないと「NFC Disconnected」と表示され、自動的に接続が切れることだ。どれでもいいので、キーを押せば接続されるが、少々不便だと感じた。長文を打つときに文章の内容を思案していると、だいたい接続が切れてしまう。また、日本語入力アプリに起因する問題だが、「じゃ」と打つときに「ja」と打つと変換するが「zya」と打ってもひらがなにならなかった。アプリケーションのアップデートによる解決に期待したい。

 注意すべき点はいくつかあるものの、NFCによる接続の早さは快適だし、慣れればタイピングの速度も上がってくる。試しにタイピング練習サイト「寿司打」を利用し、普段使用するノートPC「ThinkPad T410i」とタイピング速度を比べてみた。制限時間内に指定された短文を打つというもので、個人差が大きいテストだが、筆者の場合、結果は約216文字(ローマ字)/分だった(ThinkPad T410iの場合は約338文字)。1分間に約100〜110字ということで、SNSの書き込みやメモを取る程度ならば問題はなさそうだ。会議の議事録を取るなどスピードが求められる場面では、Fnキーを絡めた操作を行うときに速度が落ちてしまうので、やや使いにくい。

photophoto タイピング練習サイト「寿司打」での結果。NFCキーボードの方でミスが多いのは、数字キーや伸ばし棒などFnキーを絡めた操作でミスをしたからだ

接続の早さは要注目、将来性も高い

photo TK-FNS040BKは、キーボードを取り出し、すぐに文章入力を行いたいユーザーにはぴったりの製品だ

 価格は税込みで1万8690円だ。安価なスマートフォン、タブレット用のBluetoothキーボードと比べれば割高であることは否めない。キー配置の問題、ソフトの問題と荒削りな部分が多いといった弱点もある。また、先進的な技術を採用したことで、対応機種が限られることにも注意が必要だ。製品発表時、対応するAndroid端末は4種類だった。

 だが、NFC対応のスマートフォンは今後増えるだろうし、日本語入力ソフトの改善も行われるはずだ。価格についても、オンラインショップなどでの実売価格は定価よりもかなり安い(2012年8月27日現在、Amazonでの価格は税込みで1万933円)。

NFCを搭載するAndroid端末(2012年8月7日時点)


 もちろん、本製品における最大の魅力はNFCによる接続の早さだ。端末を乗せて1秒せずに文字入力が可能となる快適さは何物にも代え難い。キーボードを取り出し、すぐに文章入力を行いたいユーザーにはぴったりの製品だ。特にNFCを搭載するAndroid端末を所持している人には、ぜひこの快適さを体験してもらいたい。

PC USER編集部Sのインプレッション

 まず、置くだけでOK、このスタイルは想像以上に楽だ。スマホ用とするなら、接続設定が面倒で、接続維持性も若干不安定なことがあるBluetoothより、今後はNFC接続のこちらを使いたくなる手軽さだ。

 本機については、ちょっと重めのラバーボディ、タイプ感こそ若干“くにょ”いものの、ストロークが比較的深めで悪くはない。手に持って構えるタイプのスマホ向け小型外付けキーボードより安定感があり、操作しやすい。今後は、NFC対応機器の増加とともに、スタンド付き、よりゆったり、より小型、タブレット対応など、ニーズに応じたラインアップが増えることも期待したい。


PC USER編集部Nのインプレッション

 キーピッチは15ミリだが、意外と窮屈ではなく、五本指を使ったタイピングでもストレスは感じなかった。左右に分割したキーレイアウトについては、ユーザーの好みと慣れで評価が大きく分かれるだろう。

 キーを押した感覚は、ゴム製ボタン独特の感触で、指を押しかえす力はないに等しい。タイピングの速度も遅くなりがちだが、こういったところは、携帯用のミニキーボードだと割り切って考えるべきか。

 移動中の利用も可能ではあるが、ある程度の幅があるしっかりとした台の上でないと使えないため、利用シーンは意外と限られる。


PC USER編集部Kのインプレッション

 端末とキーボードを接触させる必要があるため、キーボードの中央に端末を置くデザインを採用したと思われるが、首をかなり下に向けることになるので、長時間タイピングをすると首が疲れてしまうこともあった。角度を調整できるスタンドがあれば、さらに使いやすくなっただろう。

 キーの押し心地や、キー配列は特殊だが、慣れてしまえば意外と気にならない。これからNFC対応Android端末のラインアップが増える可能性は高いので、本製品を先行投資として買っておくのもアリだ。


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