キーボードやマウスといった入力デバイスは、高性能(新機能)をうたう製品が次々と出てくる一方で、変わり種の製品が数多くあるところも魅力的だ。
エレコムの「レーザーキーボード」、手で握りながら使う「ごろ寝マウス」、タッチ操作可能な極小マウス「Logicool Cube」など、その形はさまざまだが、そこには、なにかしら遊び心と実用性が絶妙にバランスされている製品もあったりする(もちろん、遊び心を重視しすぎちゃった製品もあるが)。
今回はキングジムが2012年11月に発売した「MSC10」をチェックしよう。一見するとよくある普通の光学式マウスだが、なんとスキャナ機能を内蔵してしまったのだ。
本体サイズは60(幅)×115(奥行き)×37(高さ)ミリ、重量は110グラム(実測値)と、外付けマウスとしてはサイズも重さも一般的だ。PCに接続すると、自動でドライバをインストールし、30秒くらいでカーソルが動くようになる。センサー分解能は1200dpiと、標準的なマウスより少し高めだ。
搭載ボタンは2ボタン+ホイールの3つに加え、機器の左側面(右手で持てば親指が来る部分)に「スキャンボタン」を装備する。底面に、光学センサーと「原稿読み取り用のセンサー」(CIS)を備える。ここが、一般的な光学式マウスと大きく異なる部分だ。
原稿のスキャンは専用ソフト「Scanner Mouse」を使う。ソフトは付属のCD-ROM、またはキングジムのWebサイトから入手できる。
Scanner Mouseを起動し、マウスのスキャンボタンを押すとスキャンが有効になる。スキャン原稿をマウスでスーッとマウスでなぞると、スキャンした部分がディスプレイに表示されていく仕組みだ。画面左上にスキャンのためのキャッシュ残量が示され、一度にスキャンできる量をおおまかに判別できる。説明書では、最高でA4サイズ(210×297ミリ)まで一度にスキャンできるとしている。
ひとまず、会社のロゴや印刷した原稿で試してみたが、操作感は意外と快適だ。スキャンした部分を視認しながら作業できるので、ちゃんとスキャンできているのか、スキャン部分に漏れがないかといった心配をする必要がない。画像にゆがみがあると分かれば、その部分を再度なぞって修正するといったことも行える。
ただ、リアルタイムでスキャン結果を反映するためか、PCには相応の負担がかかるようだ。なめらかにスキャン結果が反映されるかどうかは、マシンスペックによるところが大きい。メモリがCPUがCore i3-380M(2.53GHz)、2GバイトのノートPCで試したところ、マウスを動かしてからスキャン画像が表示されるまで、若干の遅れがあった。一方で、CPUがCore i3-2100(3.1GHz)、メモリが8GバイトのデスクトップPCでも試したところ、遅れはほぼなかった。
よくあるハンディスキャナでは、機器と一緒に原稿が動き、スキャン画像がゆがむことがあるが、本製品はスキャン画像をソフトウェア上で補正する機能を備えている。適当に作業してもスキャンした画像のゆがみはほぼないのは好印象で、画質も問題ない。スキャン解像度は400dpiで、データはJPEG/BMP/PDF/PNG/TIF/XLS/DOCの7種類の形式より選んで保存できる。スキャンデータを直接メールに添付する、Evernoteへ直接保存するといった機能も備えるので、スマートフォンやタブレットなどと連携して使うシーンで活用するのにもよさそうだ。
また、画像の編集機能も意外と充実しており、トリミングや画像の回転、色の調整(色相、彩度、輝度、コントラスト)といったちょっとした編集が行える。原稿の大きさにもよるが、スキャンしたい部分をマウスでなぞり、トリミングで形を整えて保存するまで、長くても2分ほどで作業が終わる。
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