このソフトはスキャンしたデータ内の文字部分をテキスト化する「OCR機能」も搭載する。データを出力する際に「テキストで貼り付け」を選択すると、文字認識が行われ、テキストとして出力してくれる。OCR機能は日本語以外にも、中国語やロシア語、スワヒリ語など、のべ200種類の言語に対応する。初期状態では日本語と英語(アルファベット用)の2言語が選択されている。
日本語の文字認識機能を使ったところ、誤認識率は4%ほど(約250文字中、誤認識は10文字)だった。文字サイズに応じてひらがなの小文字や濁音は誤認識してしまいやすいようだが、普通に使えるほど認識率は高いといえる。英数字や記号の認識率もほぼ同様だ。
スマートフォンの普及に伴い、昨今、アナログのメモをデジタル化する製品が増えてきている。手書きメモならば、スマートフォン用文具の「SHOTNOTE」を使ってもいいし、スマートフォンで写真を撮影してクラウドストレージにアップするという方法もある。
そういった他の選択肢に対する、本製品の強みは「普段使う機器でそのままスキャンできること」と、データの扱いやすさだ。画像メモとしてスマートフォンのカメラで撮るより画質は高く、簡単に形を整えられ、OCR機能もある。スマートデバイスへのデータ転送にも対応するので、PCでもスマホでもデータを自由に扱える点はメリットと言える。
MSC10の定価は1万1550円(税込み)だ。スキャナ機能付きと考慮してもやや高額なのだが、机の上で使う場合、一般的な有線の光学式マウスと小型のハンディスキャナを別々に運用するより、場所をとらないし、持ち運ぶときも荷物が少なくてすむ。画像や文章の一部だけをすぐにスキャンしたい、といったときに便利で、機能がシンプルな分、気軽に使えるスキャナとして、オフィスで活躍する場面は多いだろう。
また、MSC10は実用面だけではなく、スキャナ内蔵マウスという製品自体の珍しさから、“面白そうなガジェット”としての可能性も備えている。玩具としてもそこそこ楽しめ、仕事にも使える、遊び心と実用性の絶妙なバランスを備えた製品だ。
ソフトウェアの導入は簡単だ。時間はかかるし英文のメッセージが多量に流れるが心配はない。光学式マウスとしては凡庸だが、スキャン時には、親指で操作するスキャナボタンを“つい”押してしまうことが多かった。
スキャナとして読み取り操作は、補正機能のおかげで、適当に動かしても正しい画像が読み取れる。読み取り領域の把握が難しく、特に右方向の読み取り領域限界が分かりにくかったものの、スキャンから画像補正までマウス1つで行える操作の連続性が、意外と便利に思えた。
おぉぉ、意外と認識精度がよいですね。原稿の上で適当にスリスリ動かすだけでも傾きを補正しつつきちんと合成され、1枚のスキャン画像としてごく普通に生成してくれるじゃないですか。そのままテキスト化するOCR機能も便利で、スマホとも連携できる機能もきちんと備えています。
とにかく、普段はフツーのUSBマウスであるのがエラい。USB有線仕様ということでよくあるワイヤレスマウスより軽いし、そのままUSB給電で動作するので別途電源は不要。ポータブル型スキャナを携帯する必要があるとすればおそらくPCもマウスも持ち歩く業務の人だろうし。それなら──というわけです。なるほどなるほど……な機器ですね。
スキャンボタンが押しやすい位置にあるのは、便利な半面、誤って押してしまい、スキャンが始まることが多かった。Scanner Mouseのウィンドウを消しただけでは、スキャンボタンは有効のままなので、スキャンが終わり、普通にマウスとして使うときは、通知領域のアイコンからScanner Mouseを終了させたほうがいいだろう。
対応OSはWindows 7のみと、Mac OSとWindows 8で使えないところは少し残念だが、Windows 8はソフトウェアアップデートで対応予定とのこと。早期のアップデートを期待したい。
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