“ジャマをするもの”にも意味があると知ったあの晩Biz.ID Weekly Top10

取材に行ったり、文章を書いたり、編集したりするだけが編集部の仕事ではありません。実は読書も立派な仕事なのです。しかし最近、大変だと感じるようになり……。

» 2014年06月07日 08時00分 公開
[渡辺まりか,Business Media 誠]

 6月最初のウィークリーTOP10では、2013年末に連載していた「明日から『朝型人間』になる!」の中の「失業から一転、早起きが幸運を招いた」が1位に輝きました。

 2位には「あせらない練習」から「イヤなことを先に済ませれば、あせりがなくなる」でした。イヤなこと、苦手なことは先送りしても、好きになるわけではなく、それどころか時間がたつほどあせりの原因になるものです。重い腰を上げるための方法も解説されていました。

 3位は「“通信費節約”だけじゃない! 自分にあった格安SIMプランはどれ?【2014年夏の陣】」でした。事業者が続々と参入してきている格安SIMサービス。比較検討の参考にしていただければ幸いです。


 誠 Biz.ID編集部に異動してきて、早いものでもう2カ月が過ぎました。同じ社内とはいえ、部署が違うとやり方も考え方も異なっていて、「え? ここは、こうくるの?」と驚くことばかりです。

 最近では、徐々にいろいろな仕事を任せてもらうようになりました。転載用の書籍を選ぶのもその1つです。しかし、読書がなかなか追いつかず、毎日ひぃひぃ言いながら、「趣味で読む分には楽しいのに、仕事になるとこうも大変なのか……」などと思う始末。

 そんなあるとき、インプットの大切さについて考えさせられるイベントに参加してきました。疲れにくいチェアで有名なハーマンミラー主催の、トークイベント「Things That Get in the Way(ジャマをするもの)――マイク・エーブルソンの“観察”」です。

マイク・エーブルソン氏 ユーザーに、使っていることを感じさせないほど控えめでありつつ、実用性に富んでおり、ぬくもりのあるデザインの製品を作り出しているPOSTALCO(ポスタルコ)のデザイナー、マイク・エーブルソン氏

 プロダクトデザイナーである彼がニューヨークの街を歩きながら撮影した「ジャマをするもの」「面白いもの」の写真を紹介しつつ、なぜその風景を撮らずにはいられなかったか、それらがどのようにデザインに反映されているか、など編集者の廣川淳哉氏を聞き手に迎えた約1時間のイベントでした。

 中でも、気になったのが、デザイナー志望の人の「街を歩いていて面白いな、と思ったものがプロダクトに昇華する瞬間とは、どんな時ですか?」という質問への答えでした。

 エーブルソン氏によれば、「デザインに生かそうと思って撮っているわけではないから、実はよく分からないし、ほとんど反映されていないんじゃないかと思う。でも、ひねり出そうとしてアイデアを出しているわけではなく、いろいろなものを見たからこそ、頭の中にたくさんの引き出しができて、何気ないときに引き出しが開いて新しいアイデアが出てくると思うし、今までそうだった」とのこと。

 その一例として、自身がプロデュースした「ブリッジバッグ」を挙げ、「このカバンを作ろうと思った時、重くてもたくさんのものが入れられるように、大きくて軽くて丈夫なカバンが欲しかった。じゃあ、どういう構造にしたら、シンプルな見た目のまま、そんなカバンが作れるんだろう? って考えたとき、大好きで、毎日のように見ていた吊り橋構造がふと浮かんだ」と説明。「無理に作ろうとしても、いいものは出てきません。できるだけたくさんのものを見ておきましょう」とアドバイスしていました。

ブリッジバッグ エーブルソン氏デザインのブリッジバッグ。内側に吊り橋のようにストラップを張って、耐久性を強化している。(POSTALCOサイトから引用)

 そう、そのインプットが大切なのですよね。それができていないから、良い企画も浮かばないのです。良い文章も書けません。そう思えば、目の前に積まれた本の山も魅力的に……。頑張ります。

左:手すりって、ジャマをするものだよね。右:お腹に当たってジャマそうだよね
左:丸いものも写真に撮っていました。建物に彫られていた丸いもの。普段なら汚れていると思って触らないものも、丸いと、つい触ってしまうとか。右:大きな丸いもの。でも、わたしにとってジャマで丸いものとは写り込んでしまった頭でした

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