「人生銀行」も研修で生まれた――タカラトミーの新人教育とは?:イマドキ新人教育の法則(2/2 ページ)
コストダウンを理由に、研修の内製化を考え始めた企業も多いのではないだろうか。タカラトミーは新人に研修の運営自体を任せるなど、取り組みが面白い。タカラトミーの事例で内製化のあり方を考えていきたい。
新入社員が研修を運営
2009年度からはさらに新たな試みを始めた。2009年4月の新入社員は26人。新入社員自身にこれまで人事担当が行っていた研修の運営の一部を任せることにしたという。平野さんはこの目的について「研修で何を学ぶべきか、目的をあいまいにしたまま受講してしまうケースもあるんです。研修の目的を自らつかみ、主体性を持って受講してほしい。そう思って研修の手配を任せることにしました」と説明する。
約2カ月の研修中の主な業務は、講師(社内講師)への研修内容の確認、講義の部屋のレイアウト、資料配布など。毎日2人が担当となり、研修を円滑に進行するために臨機応変に動かなければならない。もちろん最初は何が必要なのか分からない。「映像が明るくて見にくいなどはないか、後ろの人は見えないのではないかなど。1度担当すると細かいところに気付くことも多いので、その日の担当が気付かないところは、担当者以外が助けてもいい。徐々に気配りができるようになってきますね」
評判は上々 今後の運営は?
研修の運営は主体性を生み出すだけでなく、講師となる先輩社員とのいいコミュニケーションになっていると社内でも評判は上々。来年度も引き続き新人に任せる意向だ。
一方で反省点もある。「当日の対応が多くなって、逆に人事担当者や講師に負担がかかっていた。来年度は事前に準備させたい」と平野さん。また担当の割り振りも改善したいという。今回2巡目は主体性を考え自ら手を挙げてもらったものの、1巡目は人事が割り振った。「(人事が担当を割り振ると)どうしても“やらされている”感じで終わってしまう。本人たちにとっても動機づけがポイントではないでしょうか。来年は何回担当してもいい、やる気のある人に運営を任せようと思っています。自分たちが自主的に担当するというだけで、気持ちが引き締まる。日常の仕事でも意識が違ってくるはずです」
今回の施策について平野さんは「新人が実際に運営を体験して、環境作りを必死に考える姿は、わたしたち教えている側にとっても勉強になることが多かったんです。今後もこの施策を研修でうまく活用したいと思っています」と意気込みを語った。
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