週単位スケジュールで見える化する:「現場の仕事」を見える化する
日本の多くの会社は、「月単位」で仕事をしているつもりになっています。しかし、スケジュールは「週単位」でとらえてパターン化したほうが、何かと都合が良いのです。
長引く不況の中、自社の経営に悩みを抱えている中小企業の経営者が多いのではないでしょうか。そんな中、経営の内部を社員に公開し、徹底的な透明化(=見える化)を継続することで、社員のモチベーションを高め、増収増益を達成した会社があります。それが経営サポート事業などを行なう武蔵野です。――。「中小企業のカリスマ」と呼ばれる同社の小山昇社長が「現場の見える化」の方法を伝授します。5回目は「人事異動とマニュアル化の関係」をご紹介しましょう。
この連載は書籍『経営の見える化』から抜粋、編集したものです
仕事は「4週間1サイクル」で進める
日本の多くの会社は、「月単位」で仕事をしているつもりになっています。月末近くになると「今月の売上が、あといくら足りない」といって嘆くのも、「月単位」で仕事をとらえているからです。
ところが実際は、どの会社も「月単位」で仕事をしているわけではありません。月曜日から金曜日まで仕事をして土日は休んだり、木曜日から翌週の火曜日まで仕事をして水曜日に休んだり……。つまり、会計報告制度が「月単位」なだけであって、仕事は「週単位」で行なわれているのです。
例えば人が亡くなると、仏式では「初七日」、「四十九日」など、7日ごとに法要が行なわれますね。また、明治6年に新暦が採用されるまでは、1カ月は28日(7日×4週間)だったといわれています。
西洋の例では、トランプがそう。トランプは、4種類のスートが13枚ずつあり、全部で52枚。1年は52週ですから、カード1枚を7日(1週間)と考えると、52×7=364。これにジョーカーを足せば、365枚になります。東洋も西洋も、もともと「週単位」を基本に人の世を考える風潮があったわけです。
「武蔵野」のカレンダーもこれと同じ考え方です。1年間を「4週間1サイクル」で考え、A週、B週、C週、D週に分けてスケジュールを決めています。そして「A週の土曜日は基幹支援ミーティング」、「C週の月曜日は役員会議」、「D週の火曜日はリーダー会議」、「D週の木曜日は環境整備点検」というようにパターン化しています。
「変わらないもの」から先に決めなさい
どの会社も、毎年同じ事業活動をしています。創業記念日も、入社式も、夏物の仕入も、お得意様を集めたゴルフ大会も、社員旅行も、だいたい同じ時期に繰り返されているのですから、「毎年変わらないもの」をはっきりさせておけば、年間スケジュールはすぐに決まります。多くの社長は「1年先のことは分からない」といいますが、分からないのはむしろ、明日のことなんです。
スケジュールをパターン化したら、翌年は日付を変えるだけ。その日が祝祭日に当たったときだけ前後にズラせばいいので、翌期のスケジュールを簡単に作成できます。もし予定がオーバーブッキングしたなら、2つのスケジュールのうち「どちらが優先か」を考え、優先順位の高いほうを選び、優先順位の低いほうを別の日にズラせばいいだけの話なんですね。
決定したスケジュールは、グループウェアで公開するほか、社員に配布する経営計画書に転記したり、社員が持つ携帯端末にデータを入れておきます。こうすることで、いつでもどこでもスケジュールを確認・共有できるのです。事業年度のスケジュールの見える化が、結果的には社員の時間の節約にもつながります。
著者紹介 小山昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野の代表取締役社長。その経営手法には定評があり、2000年に日本IBMと並んで、日本経営品質賞を受賞した。「中小企業のカリスマ社長」と呼ばれ、現在は全国300社以上の中小企業に経営のサポートを行っている。
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