キヤノンの新ドキュメントスキャナ「DR-C125」はScanSnapを越えたか?(後編):脱ガンジガラメの働き方(4/4 ページ)
キヤノンから新たに登場したドキュメントスキャナ「imageFORMULA DR-C125」。この分野ではデファクトスタンダードにあたるPFUの「ScanSnap S1500」のライバルとなる本製品の徹底レビュー、後編である今回は各機能の詳細についてお届けする。
結論:初心者から上級者まで満足の一台
以上ざっとチェックしたが、ScanSnap S1500に比べて補正機能の種類も多く、かなりのポテンシャルがあると感じる。そのぶん使い方が分かりにくかったり、使ってみて初めて関連性が分かる機能も多いのはネックだが、容易に買い換えられる額の製品でないこともあり、長期的に見て「手間暇はかかるが設定次第でなんとかできる」本製品を選ぶ人も多いのではないだろうか。
一見奇をてらっているように見えるUターン排紙機構も、重ねた原稿の上から順にスキャンすることで重送を発生させにくくする「ダブらんスキャン」の産物であると考えれば納得が行く。またScanSnapとの差別化ポイントとしてアピールしている設置面積の少なさも、メリットとして大きいと感じた。
価格差については本稿執筆時点ではScanSnap S1500と拮抗しており決め手になりにくいが、気を付けたいのはPDF編集ソフトの差だ。ScanSnap S1500にはAdobe Acrobatを添付しているのに対し、本製品では「eCopy PDF Pro Office」というソフトを添付している。機能的にはAcrobatでできることをカバーしてはいるようだが、どうせ買うならほかで使うことも考慮してやはりAcrobatをチョイスしたいというユーザーも少なくないだろう。こうした個所もチェックしておく必要がある。
筆者が個人的に気になるのは、冒頭でも述べた、写真を中心としたカラー画像をスキャンした際の暗さ。あともう1つは本体の動作音の騒々しさだ。速度を優先した結果かもしれないが、かなり耳障りな動作音は、夜間の作業がためらわれるほどだ。また給紙トレイの展開と収納が面倒であるため、たたまない癖がついてしまうのも、長期的に見るとホコリの侵入などの点で問題が出てくるかもしれない。
ScanSnap S1500との違いを端的にまとめるならば「そこそこのクオリティのものを手っ取り早く作れるScanSnap」と「そこそこのクオリティのものを作れ、時間はかかるが凝った補正もこなせるDR-C125」といった表現になると思われる。「初心者から上級者まで満足の一台」といったところだろうか。
ともあれ、基本性能の部分においてようやくScanSnap S1500のライバルたりうる製品が登場したというのが率直な印象だ。筆者がScanSnap S1500に慣れているという点を差し引いても、両者はほぼ互角だと感じる。両製品ともユーティリティの作り込み次第でさらなる進化の余地があると考えられるだけに、ユーザーとしては今後のバージョンアップなどにも期待したいところだ。
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