例えば「低めに目標額を設定し、なるべく早く達成させる」。プロジェクトは早く達成したほうが、その後の伸びもいいのだそうだ。目標額を高くして、商品化ができない――というのでは意味がない、と高嶋さんは言う。クラウドファンディングは人気があからさまに数字に出てしまうので、事前に人気を想定し、達成できるように自費での負担も前提として目標額を調整することもあるのだとか。
さらに大事なのは「見せ方」。「他の方が出品していて達成しなかったプロジェクトで、『見せ方がよければもっと支援者が集まったはず』と思うものがある」という。「出しているものの魅力がちゃんと伝わって、いいと思ってもらうためには、商品をよりよく見せる必要がある」。
童話コスメのクラウドファンディングページを見てみよう。TCBさんのイラストと、完成品のイメージを示すだけではなく、童話の少女に扮したモデルの画像も並んでいる。イラストという“2次元”だけでは、「実際に使ってみたい!」という気持ちがわいてこない。“完成例”を見せることで、商品の物語性のみならず、実用性もアピールする――という次第だ。クラウドファンディングは、こうした“演出”も成否を分ける段階になっている。
童話モチーフコスメの世界は広がっている。メイク本『童話の国のドールメイク』(宝島社)もその1つだ。モデルが赤ずきんや白雪姫などの衣装を着用し、コスメを実際に使っている写真を使い、メイクの方法を解説しながらストーリー性のある写真集のように仕立てた書籍だ。
Amazonのランキングでは一時1位を獲得。“激戦区”のカテゴリーで、現在も30位以内をキープしている。本の価格は1300円(税別)と、コスメ本体よりもぐっと安い。
「購入層は、童話モチーフコスメの購入者だけではない。メイク担当のなみっきーさんのファンや、コスメには興味を持っているものの価格の問題で手が届かない──という人にも届いているという印象」
ワークワークは、今後、童話コスメ以外にも化粧品を展開していく予定。化粧品とイラストを合わせた物語性のあるチークやリップ、アイライナーを企画し、ブランドを確立・強化したい考えだ。
“相場”の平均より高くても、物語性をしっかり作り込んでいけば支持する人が現れる。その人たちに確実に届くように作っていけば、ビジネスとして成立する可能性がある――これは化粧品に限らず、どんなものにも当てはまるはずだ。
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