JR北海道の“大改造”構想 「新・新千歳空港駅」「ベースボールパーク新駅」:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)
現在の特急系統図
新千歳空港駅改良、北海道新幹線札幌延伸、ベースボールパーク新駅を織り込んだ特急系統予想(妄想?)図。ベースボールパーク駅は千歳線本線上で待避駅構造にしてもいい
ただし、問題点はやはり予算だ。北海道建設新聞によると、4月下旬の財務省の財政制度等審議会でJR北海道幹部から提案されたという。つまり、JR北海道が国の支援を引き出すための施策の1つである。国土交通省も理解を示しているけれども、国交省鉄道局は特別会計を持たなかったため、予算がない。(参考記事)
そこで国交省と自民党JR北海道対策プロジェクトチームは「自動車安全特別会計」のうちの「空港整備勘定」を模索している。ちょっと説明がややこしいれども、かつては空港整備特別会計として、空港使用料や政府財源を空港整備に使うための財源だった。行政改革によって特別会計は統合されたものの、空港整備勘定という形で予算枠が残されている。「千歳空港の利用を促進するプランだから、空港の費用で整備しよう」という考えだ。ちなみに、空港予算による鉄道施設整備は関空連絡橋、関西空港駅などの前例がある。
懸念があるとすれば、航空局が予算を認めてくれるだろうか。そもそも新千歳空港にも改良すべき問題がある。新千歳空港は長さ3000メートルの滑走路が2本並んでいる。しかし、滑走路同士が近いため、航空機の同時発着ができない。片方の滑走路に飛行機が着陸する間に、もう片方が滑走路内で離陸待機、というような運用だ。これでも滑走路1本よりはマシだけれども、来道旅客を増やすためには航空機発着回数を増やしたい。
航空機発着回数を増やすためには滑走路を離したい。離れた場所に滑走路を作るか、航空自衛隊千歳基地の滑走路を使わせてもらうか。国防に関わるため後者は考えづらい。新千歳空港は20年までに民間に運営委託されることになっている。それまでに、新千歳空港の整備方針で動きがあると思われる。
- 日本ハム本拠地移転、JR北海道はチャンスを生かせるか
日本ハムが本拠地球場を北広島市へ移転するという。新たな拠点はJR千歳線の線路ぎわだ。しかしJR北海道社長は新駅設置に慎重な姿勢と報道されている。素直に北広島市の歓迎ムードに乗じておけばイメージアップにつながるだろうに。残念な発言だ。
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- 北海道新幹線「札幌駅」地下案はダメ、ゼッタイ!
北海道新幹線の札幌駅プラットホームは、2012年に在来線プラットホームを転用する案で工事計画が認可された。しかし2年前の夏、JR北海道が原案をひっくり返してから大混乱に。このままでは妥協案として、かなり不便な地下駅になりそうだ。新幹線地下駅は北海道を死に導く。そこは、最善の選択ができなかった愚か者たちの棺おけも同然のハコになるだろう。
- フリーゲージトレインと長崎新幹線の「論点」
長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)の混迷が続く。JR九州はフリーゲージトレインの導入困難を公式の場で表明した。未完成の技術をアテにしたうえ、線路の距離に応じて地元負担額を決めるという枠組みが足かせになっている。実はこれ、長崎新幹線だけではなく、鉄道路線の建設・維持に共通する問題だ。
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