マーケティング・シンカ論

700台のカメラを設置して、スーパーの「トライアル」は何を分析しているのか水曜インタビュー劇場(近未来公演)(2/6 ページ)

» 2018年06月20日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

お客さんから“見える”ようになった

土肥: 博多湾を埋め立てて完成したアイランドシティには、マンションがたくさん建っていて、学校、病院、飲食店などがありますよね。若いファミリーがたくさん住んでいるところに、近未来感が漂うスーパーが誕生しました。店内のどこを見渡してもカメラがある。セルフレジ機能を搭載したスマートレジカートがある。AIの最新技術をフルに取り入れているわけですが、個人的にびっくりしたことがあるんですよね。

 トライアルで何度か買い物をしたことがあるのですが、そのときには野菜を買ったり、肉を買ったり、パンを買ったり。店頭に並んでいる商品をカゴに入れて、レジに並んで、料金を支払う。ごく普通のスーパーで買い物をしたという感覚しかなかったわけですが、いきなり福岡市に最先端の店が登場した感があるわけです。なぜこのような店をつくったのでしょうか?

店内にはたくさんのカメラが設置されている

西川: 当社は30年ほど前から、お客さんの“見えない”ところで、さまざまなことに取り組んできました。例えば、「店に必要な商品は何か」「どのタイミングで必要なのか」といった状況を把握して、自動的に発注するシステムを導入したり、ポイントカードの購買履歴を分析したり。ただ、新たにオープンしたアイランドシティ店では、お客さんから“見える”ようになりました。

 セルフレジ機能を搭載したスマートレジカートを導入したわけですが、3年ほど前から一部の店舗で実験を繰り返していました。対象商品を購入すればクーポンを発行するほか、レコメンド機能を搭載することで、お客さんにとって利便性の高いモノであることが分かってきました。手応えを得たので、いくつか改良を加えて、アイランドシティ店に導入したんですよね。

セルフレジ機能を搭載したスマートレジカートを導入

土肥: 資料を見ると、お客は会員になって、事前にお金をチャージしなければいけない。プリペイドカードを使ってログインして、「このカレー、欲しいな」となれば、商品をレジカートに付いたバーコードリーダーにかざすだけ。出口でタブレット端末のボタンを押せば、レジに並ぶことなく精算を済ませることができるわけですよね。お客からすれば「便利」といったキーワードが浮かび、店側からすれば「効率化」というキーワードが浮かぶ。スマートレジカートを導入したことで、コストはどのくらい削減できたのでしょうか?

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