伊藤教授は安倍内閣発足当時から経済財政諮問会議のメンバーとして、経済政策立案に関与してきた。「働き方改革」に関しても、経済学者の立場から技術革新による変化に積極的に対応するよう企業に求めてきた。企業にとって必要なことは一言でいうと「ビジネスモデルの転換」ということになるが、デジタルトランスフォーメーションの時代に突入し、これまで経験したことのない経営環境の中で、日本の経営者が本当に環境の変化に対応していけるかどうかに不安感を覚える。
また、GDPが堅調な伸びを見せる一方、企業が「未来の不確かさ」を恐れて実質賃金を上げない姿勢も課題だ。大和総研のレポートでは、政府によって残業時間の上限が年720時間、月平均60時間に規制されると、残業代として雇用者報酬の3%にあたる年8兆5000億円が減少し、個人消費に影響しかねないとしている。伊藤教授が指摘するように、企業は働き方改革によってビジネスモデルを変え、従業員の賃金を上げる努力をすべきだろう。
現状は恐る恐る賃上げをしている状況で、これが将来に対する確信を持って実行できるようになれば、実質賃金の上昇につながり、人口が減少する中でも日本経済に展望が開けるかもしれない。
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