(2)実施結果と個人情報の取扱い
ストレスチェックの結果は、センシティブな情報であるため、ストレスチェック実施者(定められた基準を満たす産業医、医師、保健師等。基準を満たす機関への外部委託も可)から本人に通知され、本人の同意がない限り、会社には伝わらない。
職場には、部署等一定規模の集団ごとの結果のみが通知され、それを使って職場の改善を行うことが努力義務とされている。
高ストレス状態にある従業員に対しては、ストレスチェック実施者が、直接、面接指導の申し出を勧奨する。その従業員は、希望すれば、医師や専門家等による面接を受けることができる。
しかし、面接指導の希望は、会社に申し出る必要がある。また、健康に関する情報のうち、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等は、医師等のみが扱い、会社には直接は伝わらないが、面接指導結果報告書兼意見書は人事労務部等で保管され、就業上の措置の内容など、職務遂行上必要な情報については、職場の管理者や上司にも伝わる(※10)。
職場環境が要因となっている可能性がある場合は、会社や職場に知らせないままにはできないと思われる。現在の制度で、従業員の情報は必要最小限にとどめる工夫がなされているが、高ストレスで面接を勧められた従業員の中には、面接指導の申し出を躊躇することがあると考えられる。
※10 面接指導を実施した医師から提供された面接指導結果報告書兼意見書(面接指導結果の記録)の共有は、必要最小限の範囲に留めることになっている。結果は、人事労務部門内のみで保有し、そのうち就業上の措置の内容など、職務遂行上必要な情報に限定して、該当する社員の管理者及び上司に提供することになっている。
17年7月に厚生労働省が公表した「ストレスチェック制度の実施状況」によると、ストレスチェック制度の実施が義務付けられた事業場のうち、所轄の労働基準監督署に実施報告書の提出があった事業場は約83%だった。
企業規模別の実施率は、全体で82.9%で、企業規模が大きいほど高かった。一方、在籍従業員の受検率は、全体で78.0%で、企業規模によらずおおむね同程度だった。
ストレスチェック対象従業員全体のうち、受検したのは6割強にとどまる計算となる。
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