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» 2018年10月26日 08時15分 公開

『Dr.スランプ』で「マシリト」と呼ばれた男・鳥嶋和彦の仕事哲学【前編】:ドラゴンボールの生みの親 『ジャンプ』伝説の編集長が語る「嫌いな仕事で結果を出す方法」 (2/5)

[今野大一,ITmedia]

僕の嫌いなものだけがジャンプにあった

――「偏った形の漫画」ですか?

 はい。だから、本当に思ったんですよ。「僕の嫌いなものだけが少年ジャンプに載っている」って(笑)。でも資料室で多くの漫画を読みこんだおかげで、幸い漫画にはいろんな形があって、僕が面白いと思えるものもあるというのが分かったんです。

――自分が得意ではなかったり嫌いだったりする分野で、面白いと思えるものを見つけ出すのは難しかったですか? 読者の中には「今の仕事がつまらない」「こんなこと本当はやりたくないのに」と思っている20〜30代もいると思いますが、いかがでしょうか?

phot ドーベルマン刑事』(サード・ライン)

 なるほど。私も同じような状況だったのでその気持ちは良く分かります。新入社員のころに工夫をした話をしましょう。入社してすぐに『ドーベルマン刑事』という漫画の担当が回ってきました。今だったらあり得ないのですが、普通、担当が回ってきたらその漫画のバックナンバーは読みますよね? でも僕は読まなかったんですよ。読まなかったというよりつまらなくて読めなかったのです。絵もテーマも好きではありませんでした。1話目を読んで「もう無理だ」と思って投げちゃって……(笑)。

 『ドーベルマン刑事』の漫画家、当時20歳そこそこの平松伸二さんという作家はとても人柄が良かったんです。でも、前任の編集者との打ち合わせに同席すると、「えー」とか「はい」しか言わないんです。

 編集側が一方的にものを言うだけで、作家が「えー」とか「はい」しか言わない。僕はこれがイヤだったんですね。彼とどうやってコミュニケーションを取ろうか、いかに雑談をするところまで持っていけるかを考えて、実は3カ月もかかったのです。

 彼は地方から来た若者で、精力を持て余していました。だから僕はエッチなビデオを探して新作を彼のところに持っていき、それをネタにして会話をするというやり方をしてみました。結果、これがうまくいったのです(笑)。

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