トップインタビュー
ニュース
» 2018年10月26日 08時15分 公開

『Dr.スランプ』で「マシリト」と呼ばれた男・鳥嶋和彦の仕事哲学【前編】:ドラゴンボールの生みの親 『ジャンプ』伝説の編集長が語る「嫌いな仕事で結果を出す方法」 (3/5)

[今野大一,ITmedia]

「キャラクターを変えて欲しい」と思い切って電話

――漫画というよりも、「いかに人とコミュニケーションを取るか」から入っていったということでしょうか?

 そうですね。そもそも作家が何を考えているかを編集側が分かっていなければ、打ち合わせ自体が成立しません。こうして、3カ月かけてようやく平松さんと会話ができるようになりました。

 ちょうどそのころ、『ドーベルマン刑事』の原作を書いていた武論尊さんから、新しい女性警官が出てくる回の原作が上がってきたんです。それを元に、漫画原稿が上がってきたんですが、どうしても僕の持っているイメージとは違いました。彼が描く女性警官は細面の美人タイプだったのですが、僕はもう少し若々しくかわいいイメージを持っていて、どうしても入稿する気になれなかったのです。

 それで平松さんに思い切って電話して「イメージと違うからキャラクターを変えて欲しい」と初めて言いました。すぐに雑誌「明星」を持って平松さんに会いに行き、当時まだあまり世に出ていなかった榊原郁恵さんが出ていたグラビアを見せながら「こういうイメージにしたい」と説明したのです。そこで榊原さんの顔をもとに、平松さんに何度もキャラクターをスケッチしてもらいました。そして「これだ」というイメージを作り、そのキャラクターに変えてもらったのです。

 平松さんはその日、徹夜で全カットの顔を書き直してくれました。その結果、それまで読者アンケートでは10位にも入らなかった『ドーベルマン刑事』がいきなり3位に浮上したのです。その経緯を原作の武論尊さんに伝えると、予定していた原作を捨てて、新しいキャラクターをメインに直した続編を作ってくれました。結果、読者アンケートで1位を取れたのです。そのときに「漫画の仕事も面白いかも」と初めて感じました。

 僕が担当した時点では、『ドーベルマン刑事』は人気がありませんでした。後で聞きましたが、編集部としては3カ月後には連載を打ち切りにする予定だったらしいのです。僕はそのとき編集部内で買われていませんでしたから、押し付けられたのかもしれません(笑)。

phot

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -