今回の就活ルールの見直しは、企業、大学、学生の各方面から懸念の声が叫ばれている。確かに、政府は出来るだけデメリットを最小限にするようなルール作りを進めるべきである。
一方で、メリットも多分に存在する。企業は今まで短期間で大量の学生をさばかなければならなかったが、じっくりと腰をすえて学生の能力、資質を見極めることができるようになる。比較的マイナスの影響が大きいと言われる中小企業にとっても学生へのアピールのチャンスが拡大するのだ。
学生は、学業が採用に直結するのであれば、ますます学業に集中できる。早期から企業と接することで、社会に通用するスキルを身に付けることを意識し、大学での学習の質を向上させることにもつながる。
政府が示しているように、短期的には企業・学生の混乱を考えると、急激に大幅な変更は避けるべきだろう。しかし、デメリットを意識しすぎて、単にルール作りの主体を経団連から政府へと移した現状維持にとどめるのではなく、留学生、外国人材等の採用など時代に合った変革と、しっかりと守られるルール作りが望まれる。企業・大学が一体となり中長期的な視点から日本の人材の質を高め、その結果、公平に優秀な人材を獲得できる前向きなチャンスだと捉え、議論をすることが重要ではないだろうか。
※3 Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略。企業は、利益の追求だけではなく、コンプライアンスの順守、消費者保護、環境保護、人権擁護、社会貢献など、広く社会的責任を果たすことが求められている。
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