土肥: 角度を間違えると、北斗七星が北斗六星になるような感じ?
大平: ですね。1度ズレると、2度ズレる。星座で2度の狂いが生じると、かなり違った位置になってしまう。というわけで、かなり高い精度で組み込んでいかなければいけません。
土肥: 大平技研では、最大4200万個の星を映し出すことができる投影機を扱っていますよね。それに比べると、6000個ってもの足りないのでは?
大平: 光学式の場合、恒星原板にレーザーを使ってミクロン単位の穴をあけている。一方のGIGANIUMは物理的に星を足していく作業になるので、どうしても数に限界があるんですよね。巨大ドームに映し出すことを最優先で考えているので、そこは割り切らないといけません。
SUPER MEGASTAR-II
土肥: ところで、先ほどから気になっていることがひとつ。投影機が完成すれば、直径500メートルのところに星空を映し出すことができるわけですが、地球上にそんな施設はあるのですか?
大平: いえ、ないですね。聞いたこともありません。プエルトリコにあるアレシボ天文台の反射面は直径300メートルほどなので、そこに投影することはできますが、具体的なことはまだ何も決まっていません。
ちなみに、直径1キロのところに投影できる機械が完成すれば、テーマパークをまるごと覆うことができるようになるかも。もちろん、現時点で実現の見通しはありませんが、そんな投影機が完成すればどうなるか。「星空を見ることができるテーマパークをつくろう」という人が出てくるかもしれません。そうした声が出てくるためにも、技術力をもっともっと高めていかなければいけません。
大平技研の大平貴之社長
土肥: 日本のドーム球場を見ると、天井は200メートルほどのところが多いですよね。そこに星を映し出すとして、どのような楽しみ方ができるのでしょうか?
大平: 星がどのように映るのかも大事なのですが、星をどのような環境で見るのかも大事だと思っています。ドーム球場の場合、芝生が敷き詰められているので、そこに寝っ転がって、星を見ることができる。しかも、100人、200人といった話ではなくて、数千人、数万人が同時に体験することができる。その空間の価値は、既存のプラネタリウムで味わうことができません。
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