ゲームをスポーツ競技として捉える「eスポーツ」が盛り上がりを見せている。アジアや欧米ではプロスポーツ選手同様、eスポーツで生計を立てるプロゲーマーが職業として認知されている。2022年に中国・杭州で開催予定のアジア競技大会では、正式なメダル種目になることが決定していて、オリンピックへの種目化も議論が進められているところだ。
そのeスポーツプレイヤーの世界的第一人者が、実は日本人であることをご存じだろうか。その名は梅原大吾(37)。15歳で格闘ゲームの日本一に輝き、17歳で世界一に上りつめた。以後、20年以上にわたりトップランナーとして走り続け、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス記録にもなっている。記事の前編(プロゲーマー「ウメハラ」の葛藤――eスポーツに内在する“難題”とは)では「プロゲーマーウメハラ」がいかにして生まれ、現在のeスポーツにどんな課題を感じているのかをお届けした。
今回は、ゲームセンターで「286連勝」という前人未踏の記録を打ち立てた梅原さんがいかにして勝ち続けることができたのか、その勝負哲学に迫る。
――梅原さんは5歳の時からファミコンに触れ、11歳の時に格闘ゲーム「ストリートファイターII」に出会い、15歳で日本一に、17歳で世界一に輝きました。何がそこまで夢中にさせたのでしょうか。
自分が生まれた当時、遊ぶといったら公園で身体を動かしてボールを使ったり、部屋の中では将棋や囲碁をしたりというのが当たり前だったんです。でも、5歳ぐらいの時に「スーパーマリオブラザーズ」が大ヒットし、ファミコンで遊ぶことが広まってきたんですね。
あの頃は新鮮な感じで遊んでいました。人と対戦するゲームもありましたが、そこで勝ったり負けたりして競争するのが楽しかったんですよ。もともと勝負事が好きな性格だったのだと思います。でも、同い年の友達はゲームにそこまで本気ではなく、真剣に勝ち負けを求めていなかったんですね。普通はゲームより、勉強やスポーツというところで競争していくんでしょうけど、自分はそれが肌に合わなかったので、小学校の低学年ぐらいまで競争相手がいなくて悶々としていました。
そこに、格闘ゲームが登場してきたわけです。一番魅力的だったのは、知らない相手と何の御膳立てをすることもなく気軽に勝負できるところでした。ゲームセンターで筐体が2つ向かい合って並んでいて、コインを入れるだけで対戦できましたから。当時はこういった気軽に勝負できるゲームが格闘ゲームしかありませんでした。今となってはパズルゲームやシューティングゲームでも気軽に知らない人と競えますし、他にもスマホを使ってオンラインで知らない人と簡単に対戦できるゲームがたくさんありますね。だから、もし生まれる時代が違っていたらそっちにはまっていたのかもしれません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング