私たちはこうした困難を抱えているからと言って、何もしないでいてよいわけがない。実際、すでに日本企業の生産性は先進国の最下位レベルまで落ち込んでしまっている。
「生産性が低くても、生活レベルがそれほど変わらないのであればオッケーじゃん」という意見もあるかもしれない。だが、生産性の低下に伴い、日本は確実に貧しくなっている。
では、生産性を向上させるにはどうすればよいのだろうか?
本書で述べていく生産性についての知識は、ミクロ(個別事例)とマクロ(経済全体)でどのような問題点があるのかをバランスよく論じたつもりである。個々のノウハウも、生産性を巡る全体観をつかむことで、自分のものとしやすくなる。能力は知識を疑似体験して考えることで血肉化するものだ。
しばらくの間、生産性を巡るストーリーにお付き合いいただきたい。
熊野英生(くまの ひでお)
第一生命経済研究所経済調査部・首席エコノミスト。1967年山口県生まれ。横浜国立大学経済学部卒業後、日本銀行入行。同行調査統計局、情報サービス局を経て、2000年に第一生命経済研究所入社。11年より現職。専門は金融政策、財政政策、金融市場、経済統計。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会理事。
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