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» 2019年03月13日 05時00分 公開

建て替えで揉める「老朽化マンション」 住民合意の「秘策」とは?人間関係がこじれると「ご破算」に(4/6 ページ)

[中西享,ITmedia]

個別面談で要望聞く

 16年11月の総会で、アドバイザーが収集した情報を整理して、いくつかの項目について点数方式で事業協力者のコンペを実施。旭化成不動産レジデンスを事業協力者に選んだ。同社は高齢者が多い区分所有者へ選任チームの担当を置くなど、きめ細かい提案があり、建て替え実績があったので、早期に建て替えをしてくれるのではという期待感があったためだという。

 17年3月に9割以上の賛成で「建て替え決議」を実施し、非賛成者もその後は建て替えに賛成した。事業協力者の選定から4カ月半という早さで建て替え決議ができた理由について花房副所長は「選定後に全戸と個別面談を行い、住民の意向を確認した。全体の機運が高いうちに面談をして要望を細かく聞くことができた。借入希望の住民とは一緒に銀行に行って話を聞いたりもした。このため、マンション全体の建て替えというよりは、一戸ごとの要望を聞いて設計担当に掛け合うなど戸建てを作るような感覚で作業を進めた」と、住民への細かい配慮を強調する。

アドバイザーの役割

 地下1階、地上6階建てのマンションは現在建築中で、今年の夏に完成する。28戸から51戸に増えて、23戸を再取得し、28戸は第三者に分譲販売された。以前に77平方メートルの部屋に住んでいた人が40平方メートルの部屋に移った場合は、数百万円の持ち出しで済んだ。77平方メートルの部屋を選んだ場合は数千万円の追加負担が必要だ。結果的に取得する住居の広さは大小さまざまだった。そのため分譲する住戸が確保できた。また、修繕費用と管理費の積立金があったので、これらが各戸に合計で二百数十万円戻った。これを仮住まいのための資金に使うことができたので、仮住まいの不満はほとんどなかったという。

 島田さんはこれまでの経過を振り返り、「長年住んでいる人が多く、皆さん顔見知りだったので連絡は取りやすかった。住民同士だと建て替えの話し合いは難しい面もあるが、アドバイザーが間に入ってくれたので住民の説得はしなくて済んだ。私が直接交渉していたら(計画は)壊れていたかもしれない」と語る。

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