もちろん「本人が取りたくないと言っている」と言っても労働者が「自らの判断で出勤し、使用者がその労働を受領した場合には、年次有給休暇を取得したことにはならないため、法違反を問われることになります」(厚労省パンフレット)としている。
せっかく有休取得が義務付けられたのに経営者の言いなりになってはいけない。本人はよかれと思っても、結果的に法律違反を幇助(ほうじょ)したことになる。
4月以降、法律の抜け穴を探そうとさまざまな手口を弄(ろう)する経営者が出てくるだろう。しかし、それに屈することなく、有休取得は権利であり、使用者に課された義務なのだという自覚を持って、正々堂々と取得してほしい。
溝上憲文(みぞうえ のりふみ)
ジャーナリスト。1958年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』で日本労働ペンクラブ賞受賞。
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