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「マツキヨ・ココカラ連合」誕生が意味するもの小売・流通アナリストの視点(3/5 ページ)

» 2019年05月31日 08時00分 公開
[中井彰人ITmedia]

「食品スーパー」スタイルが追い風に

 一定の企業規模に成長したドラッグストアが、各地に林立するようになった業界では、互いの競争も激しくなっていき、徐々に勝ち組と負け組が生まれてくる。そうした状況下で、業界内の再編も並行して進行し、2000年代以降はM&Aもかなり行われている。図表2の2000年代の上位企業もかなりの企業が他社の傘下に入った。

 大手グループのツルハ、サンドラッグはM&Aを有効活用して規模を拡大し、都市型連合のココカラも誕生している。流通最大手であるイオングループもM&Aで多くのドラッグストアを統合したウェルシアを構築したことで、16年度には20年以上続いたマツキヨの業界最大手の地位を奪うことになった。郊外型で成長したツルハやサンドラッグにも抜かれたマツキヨは、18年には業界4位となる。

 こうした業界再編の進行に加え、地方や都市郊外では新手の郊外型ドラッグストアが勃興していた。コスモス薬品、クスリのアオキなどが代表格のいわゆる食品強化型ドラッグストアといわれるタイプで、もはや見た目は食品スーパーといったほうがいいようなスタイルだ。従来の郊外型ドラッグストアの売り場に広い食品売り場を加えたイメージで、購買頻度の高い食品をディスカウント販売することで、主婦層に頻繁に来てもらい、ドラッグストア商材を「ついで買い」させる作戦だ。これが地方や郊外の消費者に支持されて、食品強化型ドラッグストアがいまや成長株として業界を席捲(せっけん)するようになった。

 図表3は2017年の売り上げランキングだが、5位のコスモス薬品を筆頭に、食品強化型が上位の過半を占める状況になっている。2000年時点のランキングと見比べれば分かるが、このタイプの企業は2000年時点では、カワチ薬品以外はランク外だった企業ばかりだ。直近5年の成長具合をみても、M&Aが貢献している最上位グループを除き、食品強化型の成長率が概して高いこともみてとれる。大ざっぱに言えば、最大手企業による再編が進む中、食品強化型の新興勢力が地方から挑戦している、といった構図がいまの業界の姿と言えそうだ。

phot 図表2 ドラッグストア売り上げランキング 2017年(単位は百万円、出典:日経MJ)

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