以上が中村さんへのインタビュー内容だ。全国の水族館を知り尽くす中村さんの目から見ても、竹島水族館はとりわけ「弱点だらけ」の館だった。しかも、その弱点は発想を変えて武器にできるものでもない。最悪に近い条件が揃っており、廃館寸前だったいうのは大げさではないだろう。
中村さんの指摘するように、唯一の希望は小林さんたち若手スタッフによる改革が可能な組織だったこと。それは「アットホーム改革」とも呼べるようなもので、スタッフ自身を客が会いたい展示生物にする工夫と努力が継続的に行われている。すると、この古くて小さな水族館が馴染(なじ)みの老舗民宿のように感じられてくる。客は子どもも含めて安心した顔で自由に歩き回っている。迷子になる心配がほとんどない狭さが武器になっているのだ。
これと思ったらできるところまで徹底的にやると独自の強さが生まれる。中村さんの言葉だ。かつての竹島水族館のように逆境に立ったときに思い出したい。自分でも驚くほどの知恵と力を発揮できるかもしれない。失うものはもう何もないのだから。
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