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サンシャイン水族館をプロデュースした中村元が語る「弱点を武器に変える2つの方法」ショボいけど、勝てます。 竹島水族館のアットホーム経営論(3/6 ページ)

» 2019年06月27日 08時00分 公開
[大宮冬洋ITmedia]
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手作り解説は「スタッフの顔が見えること」に意味がある

――愛知県は温暖な気候なのでその真似はできません(笑)。竹島水族館の売りはやはり手書き解説板(POP)に代表されるアットホームさ、でしょう。弱点を武器にしたわけではありませんが……。

 廃館寸前の小さな組織だったので、ヒエラルキーを壊して改革を断行できたのかもしれません。あえて言えば、その点が竹島水族館の武器になりました。手作りの解説板を「売り」にできるぐらい一生懸命描いて、館内がグチャグチャになるぐらいに貼り出しています。今では竹島水族館の真似をしている水族館が増えていますが、あそこまで徹底しているところはありません。実は、手作りの解説は、それ自体の面白さよりも、スタッフの顔が見えることに意味があるのです。つまりスタッフを「スター動物」にしている。

phot 竹島水族館の手書きPOPにタブーはない。それぞれのスタッフが面白さとわかりやすさを追求している

 きっかけは2005年だったと思います。私が桂浜水族館(高知県高知市)を視察した際、精巧な切り絵で水槽内の魚を解説している魚名板を見つけたのです。切り絵が得意なおじいちゃん飼育係の手作りで、「いごっそうおやじの一口メモ」というユニークな解説文も添えられていました。水槽よりも先にその魚名板を見ている客が多くて、目から鱗(うろこ)の体験でしたね。絵の上手さではなく、スタッフが自分で描いているところが面白いのです。切り絵を通して人間であるスタッフも「展示」するという発想が客に受けていました。

 小林くんに桂浜水族館の切り絵魚名板について「こんな方法があるよ」と伝えたところ、素直にやり始めました。しかも徹底的に、です。これと思ったらできるところまでやるのが彼の力ですね。ちょっと狂気を感じるぐらいです(笑)。

phot 以下、桂浜水族館の「いごっそうおやじの一口メモ」。竹島水族館の手書きPOPに影響を与えているのが分かる(中村元さん提供)
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