トヨタが中国シフトを急ピッチで進めている。自動車の環境規制を強化している中国市場を攻略するにはEV(電気自動車)の投入が必須だが、最大のボトルネックとなりそうなのが電池の確保であった。トヨタは中国メーカーとの戦略提携によってこれを乗り切る算段だが、次世代自動車の基幹部品を外国企業に握られることにリスクはないのだろうか。
トヨタ自動車は6月、車載用電池で世界最大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)と戦略提携する方針を明らかにした。トヨタは既にパナソニックと車載用電池を開発・製造する新会社を設立する予定だが、車載用電池市場は、中国や韓国のメーカーの独壇場となっている。パナソニックからの調達だけではトヨタが必要とする電池の量をカバーできないため、中国メーカーとの戦略提携に踏み切った。
トヨタはグローバル市場における4大自動車メーカーの1つだが、これまでEVについて積極的とは言えなかった。近い将来、自動車の多くが電動化されることは共通認識となっているが、EVシフトが一気に進むことについて疑問視する声があったのも事実である。
だが、同社の利益の源泉だった北米市場の変調が状況を大きく変えた。
トヨタを含む世界の自動車メーカーは、これまで北米市場を主戦場としてビジネスを展開してきた。絶好調とも言える好景気を背景に、米国では飛ぶようにクルマが売れていたことから、北米市場を攻略することが常に最優先の課題だった。
ところが、利益の源泉だった北米市場に変調の兆しが見え始めたことで状況が変わってきた。トヨタの2019年3月期決算は何とか増収増益(営業利益ベース)を確保したものの、北米の販売台数は274万台と前年を下回っている。北米市場は数年先までの需要を先取りしてしまったともいわれており、今後、販売台数が急増する見込みは薄い。
北米市場に代わる主戦場となり得るのは中国市場しかなく、トヨタも本格的に中国シフトを進める必要に迫られている。
ゴーン氏逮捕は「ホリエモン、村上ファンドの時よりひどい」 郷原信郎弁護士が指摘
ソニーが「新卒に年収730万円」、最大のカベは中高年社員の嫉妬!?
ゴーンという「怪物」を生んだのは誰か 日産“権力闘争史”から斬る
“ゴーン予備軍”は存在する――「怪物」を生まないために
印鑑廃止、業界団体の反発で見送り これは「異常な光景」なのか?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング