土肥: 無事、商品が完成したわけですが、そのときに「これは売れるぞ!」といった手ごたえはあったのでしょうか?
泉: 正直に言いまして、あまりなかったですね。開発に携わったメンバーからも、「絶対に売れる」という言葉はありませんでした。このような話をすると、「弱気だなあ」と感じられたかもしれませんが、仕方がない部分もあるんですよね。どういう意味かというと、昨年はG-SHOCKが登場して35周年という節目にあたる年でして、この商品は大きな企画の中のひとつ……という立ち位置でした。
土肥: あまり期待していなかったわけですが、4月に発売して、どのような反響がありましたか?
泉: 早い段階で、店頭から在庫がなくなりました。国内だけで売れているのかなあと思っていたら、海外でも好調だったんですよね。ただ、繰り返しになりますが、「35周年だし、その流れで購入していただけているのかな」と思っていたのですが、その後も好調に売れていまして。生産計画を2倍にしたものの、いまでも品薄状態が続いているといった感じですね。
「もっとたくさんつくればいいんじゃないの?」と思われたかもしれませんが、通常の商品に比べて、このモデルは手間がかかるんですよね。例えば、光があたってステンレスの部分がピカピカしていますが、このような輝きを保つためには何度も磨きをかけなければいけません。
その作業はどうやっているのか。機械にセットして、ボタンを押せばOKといった話ではなくて、人の手で磨いています。このほかにも手作業で行っているところがたくさんあって、完成させるのにどうしても時間がかかってしまうんですよね。
土肥: 売れている要因をどのように分析していますか?
泉: お客さんの幅が広がっているのかもしれません。データを分析したところ、これまでG-SHOCKに興味がなかった人たちに、購入していただけていることが分かってきました。例えば、舶来の時計を持っているので、価格の安いG-SHOCKに興味はない。ファッションにとても気をつかっているが、G-SHOCKのデザインに興味はない。そんな人たちにも買っていただけている。しかも日本だけでなく、海外でも同じような現象がうかがえました。
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