Slackの基本は、各組織やチームが「ワークスペース」と呼ばれる共有空間を作り、ここにチャンネルを作成することで作業を進めていく。チャンネルは参加メンバーが決まっており、許可されていないチャンネルをまたいで見ることはできない。例えば、人事に関するチャンネルを閲覧できるのは人事部や部の上司だけで、他の社員がのぞくとまずい情報も含まれている可能性があるからだ。
また、Slackは推奨していないものの、他のSNSにあるようなダイレクトメッセージ機能もある。これは直接メンバーに話しかける機能で、当事者以外に情報は共有されず、雑談や直に相談したい場合に重宝する。ビジネスチャットというと堅苦しいイメージがあるが、「いいね」で反応したり、絵文字を交えて文章に変化をつけるような、やや“緩い”コミュニケーション機能もSlackの魅力だ。アイコン画像をシチュエーションによって使い分けるのも手かもしれない。
Slackという製品名が「Searchable Log of All Conversation and Knowledge」から来ているように、過去のチャット内容や投稿済みの情報を全てさかのぼって検索できるのがSlackの大きな特徴だ。これは有料版のみの機能となるが、それだけ使いこなしているユーザーであれば有料版を検討する価値はあるだろう。
もう1つSlackで重要なのがアプリによる機能拡張だ。Slackではサードパーティーの開発者に向けて、同サービスに接続するための仕様を公開しており、この仕組みを利用したアプリの数々が開発され、App Directory内で公開されている。
情報を素早く抽出するツールや会議招集を行うツール、メール連携を行うツールまで、SaaSと呼ばれるクラウド上でサービスを展開する事業者の多くがSlack向けのアプリを用意している。ただし、これも無料版では10個までのアプリ利用上限がある。なお、Slack Japanのスタッフによれば、現在のお勧めは「Navitime」だという。経路検索がSlackのインタフェース上からすぐに行え、専用アプリやWebサイトを起動する必要がないという点が評価ポイントのようだ。
この他にもさまざまな機能が予告されている。19年4月にサンフランシスコで開催された同社のパートナーカンファレンス「Frontiers」では、19年内に提供が見込まれる機能の数々が予告されている。
例えば、ワークスペースをまたいで共有チャンネルを設定可能な「Shared Channels beta」、申請作業など基本的なワークフローを誰でも簡単に作成できる「Workflow Builder」、会議設定などの場面においてSlackに未参加のユーザーをメール経由でワークスペースに誘導して調整作業を簡素化する「Email + Calendars + Slack」、複数のチャンネルやダイレクトメッセージを含む形で横断検索が可能な「Expanded search」などがそれだ。
SlackはWebブラウザでアクセスするサービスの他、WindowsやMac、AndroidやiOSのスマートフォンまで、それぞれのプラットフォームに専用アプリケーションを提供している。ただし、このデスクトップ環境向けの専用アプリケーションは「重い」「メモリを非常に消費する」といった面で不評であり、特に非力なマシンを利用するユーザーの悩みの種だった。
これはSlack自身も認識しているようで、7月22日に公開されたBlog記事の中で、この“デスクトップ版Slack”の起動速度が33%高速になり、メモリ消費量に至っては従来の半分程度まで低減されているという。
前述の機能拡張と合わせて、ユーザーが増えるごとに改良が進められるSlack。使い続けるごとに進化し、ユーザー自身も利用の幅が広がっていくというのがプラットフォームとしての強みなのだろう。
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