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» 2019年09月10日 09時00分 公開

特集・日本を変えるテレワーク:テレワークで「阿吽のコミュニケーション」を実現する秘訣は「絵文字」 (3/3)

[武内俊介,ITmedia]
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テレワークを成功させる4つのルール

 1つ目は、メッセージをいつ見るかを決める主導権は、受け手にあることを明確にすることだ。テレワーク時には、膨大な量のメッセージがチャット上で飛び交うことになり、すべてのメッセージには目を通せない。どうしても今すぐにコミュニケーションを取る必要がある場合、送り手がFacebook MessengerのIP通話や電話など同期性の高い連絡手段を選択しなければならない。「チャットで連絡したのに反応がない」と怒るのは、お門違いなのだ。

 2つ目は、チャット上でディスカッションをしないことだ。文字だけのコミュニケーションはすれ違いが起きやすい。やり取りしていく中で誤解が誤解を生み、お互いにけんか腰になってしまうことも少なくない。10分話せば済む話が、チャットでやり取りしていると1時間かかっても決着がつかないこともある。込み入った話をする必要があるときは、「ちょっとだけ電話会議をしませんか」という感じで、ほかのコミュニケーション手段を提案することが重要だ。

 3つ目は、チャット上で長文の投稿をしないことだ。プライベートのチャットで長文を送る人はほとんどいないはずだが、ビジネス上でのやり取りになるとなぜか何十行にもおよぶチャットを送ってくる人がいる。チャットはメールとは違い、数行の短いメッセージをキャッチボールすることに特化したツールだ。詳細な情報や補足事項については、添付ファイルや外部リンクとして貼り付けることが原則である。ここでも送り手側の配慮が必要になる。

 最後は、丁寧な言葉遣いを心がけることだ。口頭であれば問題のない言い回しであっても、文字にしてしまうとキツイ印象を与えてしまうことは意外なほど多い。親しき中にも礼儀ありの精神で、お互いに相手に不快な思いをさせないように意識することが必要になる。

 以上のように、チャットでのコミュニケーションは、送り手側の意識や相手への配慮が鍵となる。日本企業の中ではこれまで阿吽の呼吸が通用したため、お互いに特に意識をすることもなく成立していたコミュニケーションも、テレワークではすれ違いを生むことになる。コミュニケーションを円滑にするために必要なのは、スキルではなく常に相手への配慮を欠かさないという意識なのだ。

日本においてもワーク・シフトは進む

 リンダ・グラットンが2012年に発表した書籍『ワーク・シフト』では、テクノロジーの進歩によって、場所にしばられずに地球上のいたるところで働くことができる未来が描かれていた。テレワークが日本で当たり前になるには、まだ少し時間がかかると思うが、私たちの働き方はテクノロジーの恩恵を受けて確実に変化してきている。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

 都市圏の満員電車通勤による経済損失は、年間数兆円にもなるといわれている。これから労働人口が減少していく日本において、このような非効率な仕組みを放置するような余裕はない。テレワーク導入を検討する企業はこれからもさらに増えていくはずだ。

 筆者が経営する会社では、今現在はリモートワークに慣れたスタッフしか採用していないので、コミュニケーションのルールを明文化はしていないが、今後ビジネスを拡大するにあたっては、チャットでのコミュニケーションルールは最初に共有するべきものだと考えている。

 テレワークのコミュニケーションでは、これまで以上に新しいビジネスマナーが必要になる。これまでの延長線上ではなく、テレワークによる恩恵を享受しながら、コミュニケーション不和が生じないような工夫をすることで、効率的なワークスタイルへのシフトが可能になるだろう。

執筆者 武内俊介 リベロ・コンサルティング合同会社 代表、税理士

 

業務設計士。金融の企画部門、会計事務所、ベンチャーの管理部門を経て現職。徹底した現場ヒアリングにこだわり、CRMの構築から会計データへの連携・活用までの一気通貫した業務とシステムの設計を提供している。

 

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