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» 2019年09月30日 08時00分 公開

若きIT識者3人が鼎談:アジア諸国より企業のIT化が遅れている――DX後進国ニッポンを救う方法とは (2/6)

[吉村哲樹,ITmedia]

フリーランスとして働く人のリスクや不安を解消する方法

Photo メルカリ IT戦略室長 成田敏博氏

成田: 私が勤めているメルカリにも、みらいワークスさんから来ていただいているフリーランスの方々がいらっしゃいます。そうした方々に「なぜフリーランスという働き方を選んだのですか?」と聞くと、実はやりたいことがほかにあって、それを実現するための時間やお金を捻出するために、フルタイムの社員としてではなくフリーランスという働き方を選択しているという方が多いようです。

岡本: 私たちはそうした働き方を「ライフラーク」「ライスワーク」という言葉で表現しています。ライフワークというのは、自身が本当にやりたい仕事のことです。もう一方のライスワークというのは、ご飯(ライス)を確保するための仕事、つまり「食べていくための仕事」です。この両者が一致している人はとても幸せな働き方をしていると言えますが、ほとんどの場合は一致しません。なので、当初はこの2つを明確に分けた上で自身の働き方をデザインして、ゆくゆくはこの両者を一致させていくことを長期的に目指すというのが、多くのフリーランスの方々が志向する働き方だと思います。

 また、ライフステージによって働き方を変える方も多いですね。例えば、子どもが生まれてからしばらくの間は、子どもと一緒に過ごす時間を大切にしたいので、1年間のうち4カ月間だけ働いて、残りの8カ月間は家族と過ごすという方もいらっしゃいます。たとえ4カ月間だけの稼働でも、工夫すればサラリーマンとしてフルタイムで働くのと同じぐらいの稼ぎを確保できます。

 そうやって、子どもが小学校に進学するぐらいになったら、またフルタイムの働き方に戻す――。このように、ライフステージのフェーズごとに働き方を選択できるような社会になれば、皆が生きたい人生を送れるようになるのではないでしょうか。私たちは、そんな社会を作りたいと考えています。

成田: 素晴らしい考えですね。ただ一方で、ずっとフルタイムの会社員として働いてきた方にとっては、やはりフリーランスという働き方は「生活基盤が不安定になるのでは」という不安が先に立って、ハードルが高く感じる方が多いですよね。サラリーマンのときは会社に任せきりだった、税務や契約といった実務もこなさなくてはいけません。

岡本: そうですね。私たちも、独立した方が必ず直面する「実務面の課題のサポート」を重視しています。税務面に関して言えば、利用者のニーズに合わせてさまざまなタイプの税理士さんを紹介できますし、資産形成に関するアドバイスも行っています。

 フリーランスの方々は往々にして、キャッシュフローは得意なんですけど、資産形成の意識が抜け落ちてしまっていることが多いんです。そこで、そういう方々に対して、生活のために必要な「お金のリテラシー」を身に付けるためのさまざまなサポートを提供しています。

 ただ本来は、こうしたリテラシーはフリーランスの方だけでなく、会社員の方々も身に付けているべきなんですが、大抵の場合は会社に任せっきりになっているので、独立後に突然、困ってしまうことになりがちです。

中野: 私も2018年の年末に自身の会社を立ち上げたのですが、会社の立ち上げ方から決算の進め方、経費のポリシーに至るまで、とにかく自身の知識のなさを痛感しました。でも、自分で必死に調べて勉強したおかげで、お金のリテラシーはかなり上がった気がします。

 ただ、とにかく覚えなければいけないことが多いので、限られた時間の中で必死に勉強しているうちに、「あれ、そもそも何のために会社を立ち上げようと思ったんだっけ?」と、手段と目的が逆転してしまいそうになったこともありました(笑)。

岡本: たとえ社員が自分だけの法人であっても、リーガルと税務は必ず自身でおさえておかなくてはいけません。特にリーガルの部分は、フリーランスの方々にとって盲点になりがちです。フリーランスの場合は自身で仕事の契約を結ぶことになるので、そこにどんなリスクが潜んでいるか、意外と皆さんご存じないんですね。

 私がかつて、フリーのコンサルタントとして活動していたときのことですが、外資系企業と結んだ契約の中に「クライアントからの訴訟は無制限に責任を負う」という条項がありました。当時関わっていた案件の中には、数十億円単位のものもありましたから、そこでトラブルになって無制限に責任を負うようなことになったら、フリーランスはひとたまりもありません。

 そうしたリーガル面のリスクをフリーランスの方々に知っていただくことも、私たちの重要な仕事の1つだと考えています。

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