南アフリカに敗れてしまったものの、イベント的には大きな盛り上がりを見せているラグビーW杯。全国12の開催都市を訪れている40万人にも及ぶ外国人サポーターや各国代表選手は、日本各地の「おもてなし」に大変満足しているらしく、一部の気の早い海外メディアなど、日本のW杯開催を「見事な選択だった」と絶賛している。
もちろん、日本側でも大喜びしている人たちが山ほどいる。
例えば、ビール業界。ご存じのように、人口減少や若者のビール離れから、ビール消費量がじわじわと減少していたが、W杯になってから途端に品薄状態と嬉しい悲鳴が上がっている。海外のラグビーファンは試合前から浴びるほどビールをカパカパ空けながら、ラグビー談義に花を咲かせるからだ。
人口減少で国内市場が縮小する中で、訪日外国人観光客がバンバン金を使って地方を潤わせる――という観光立国における典型的な成功事例のようなことが起きているのだ。
このような「ラグビー観光」の大成功を見て筆者が強く感じるのは、日本の「スポーツツーリズム」の大きなポテンシャルである。
ラグビーワールドカップ2019で、日本はベスト8に進出(出典:ロイター)
スポーツを見に行く、もしくは体験しに行くための旅行およびそれに伴う周辺観光などを指しているスポーツツーリズムは、日本ではまだほとんど手つかずといっていいほど整備されていない。それを裏返せば、この分野を確立すれば、日本の観光産業はまだまだ大きく成長できるということだ。
「だからこそ、来年の東京2020が大事なのだ」といきり立つ人も多いだろうが、五輪は開催期間が2週間ぽっち。経済効果と集客が期待できる国際イベントであることは間違いないが、「爆買」と似た打ち上げ花火的なインバウンドバブルに過ぎず、国の観光業を継続的に成長へ導くスポーツツーリズムではない。
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