ラグビーW杯の成功で見えた「武道ツーリズム」のポテンシャルスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2019年10月23日 08時15分 公開
[窪田順生ITmedia]

カネを出すのは海外のカジノ企業

 もちろん、ムエタイの真似だけではなく、日本ならではの施策も必要だ。例えば、ゴーグルをかけると、空手の試合をやっているようなバーチャル体験ができるなんて施設があってもいいかもしれない。

 そんなカネがどこにあるんだと思うかもしれないが、そのためのIR(カジノを含む統合リゾート)だ。カネを出すのは海外のカジノ企業なので、IR設置の条件には、必ず日本の伝統的な武道のテーマパークを併設することを条件にすれば、国も自治体も懐を痛めることなく、「武道ツーリズム」の環境整備ができるというわけだ。

 というような話をすると、「武道は見世物ではない!」「日本文化に理解のない外国人が道場に押しかけても迷惑なだけだ」と不快になる武道家の方も多いかもしれないが、このように観光資源化することが長い目で見れば、武道のためになるのも事実なのだ。

 ご存じのように、武道人口は年を追うごとに減少している。少子高齢化なので当然といえば当然で、武道によって若干の違いはあるが、高齢者の競技人口ばかりが増えて、子どもや若者が減っている点は共通している。

 競技人口が減れば、専門の指導者も減る。道場も減って、技術の継承も難しくなるのでレベルも落ちていく。こうなると、あとは「文化保護」の名目で、国から補助金をどれだけふんだくるのかという戦いになるので、日本の伝統工芸の世界と同様に「衰退」が始まっていくのだ。

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