さてエンジニアリングを見ていこう。見ていこうといっても現状スバルからは何一つといっていいくらい情報は出ていない。発売まで1年近くあるかもしれないモデルなので、当然といえば当然なのだが、以後の詳細技術はあくまでも筆者の予想に過ぎないことは、あらかじめお断りしておきたい。
さて、レヴォーグの基本はAWDである。スバルの場合、インプレッサと他社OEM車両を除くとFFモデルは選べない。デフォルトがAWDである。元々生活四駆からスタートしたスバルは、リアルワールドでの性能に強いこだわりを持っており、その走破性には定評がある。北米のYoutubeなどを見ると、雪や氷でスタックしてしまった巨大なトラックを、レガシィが軽々と牽引(けんいん)してみせる動画なども多く、スバリストによるそういう地道な草の根的なヒーロー活動が、今のスバル・ブランドを築いてきたともいえるだろう。
AWDはいいとして、温室効果ガス問題が厳しく糾弾される時代の問題はフラット4にあるだろう。厳しさを増すCAFE規制の中で、この形式はCO2排出量を削減していくには不利なエンジンだ。とはいえ、ことはメーカーだけの問題ではなく、ユーザーも巻き込んでいる。つまり「フラット4でなくてもスバルだ」とお客さんは本当に認めてくれるのかどうか。それは分からない。
雑な予想に過ぎないが、2040年頃にはEVがそれなりに主流化しているだろうし、おそらくスバルの主力もEVとなっているだろう。しかしそれまでの間どうするかは、スバルにとって中々厳しい課題である。
現在スバルが発表している中期戦略によれば、CO2対策には2つの戦略が採られている。1つはトヨタのTHS2ハイブリッド(HV)システムを組み込んだ、プラグインハイブリッド(PHV)で、北米でクロストレックに搭載されている。
- 「超小型EV」でEVビジネスを変えるトヨタの奇策
モーターショーに出品されたトヨタの「超小型EV」。これは多分東京の景色を変える。EVの最大の課題は高価なバッテリーだ。「値段を下げられるようにバッテリーを小さくしよう」。いやいやそんなことをしたら航続距離が足りなくなる。だからみんな困っているのだ。ならば、航続距離がいらないお客さんを選んで売ればいい。これがトヨタの奇策だ。
- マツダのEVは何が新しいのか?(後編)
「MX-30は魂動デザインなのか?」。答えはYesだが、第7世代の陰影デザインは、MX-30には緊張感がありすぎる。そこでさらに「陰影」自体も取り去った。そこに残ったのは優しくて健全なある種の健康優良児のような姿だった。
- マツダのEVは何が新しいのか?(前編)
東京モーターショーの見どころの1つは、マツダ初のEVであるMX-30だ。クルマの生産から廃棄までの全過程を通して見たときのCO2負荷を精査した結果、35.5kWhというどこよりも小さいバッテリーを搭載した。世の中の流れに逆らって、とことん真面目なEVを追求した結果出来上がったのがMX-30だ。
- スバルとトヨタ、資本提携強化でどうなるのか?
トヨタがスバルへの出資を強化して関連会社化するとともに、スバルもトヨタ株を取得する。スバルは、マツダ、スズキと並んでトヨタアライアンスにおいて、最恵国待遇を得たことになる。なお、ダイハツは、トヨタが全株式を取得し、すでに100%子会社となっている。つまり今回のスバルの株式相互保有によって、トヨタアライアンスの資本提携は一応の完結を迎える。
- スバルが生まれ変わるために その1
筆者を、スバルは北米の有力ディーラーへと招待した。ペンシルバニア州アレンタウンの「ショッカ・スバル」は、新車・中古車を合わせた販売数で全米1位。新車のみに関しても、全米最多級である。「スバルは他と違う」と、この自動車販売のプロフェッショナルは、本気でそう思っている。けれど、具体的に何がどう違うのかが全く説明されない。北米ビジネスの成功について、何の戦略があり、何をしようとしているのか、それを知りたいのだ。
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