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» 2019年11月09日 08時00分 公開

森田まさのりの肖像【中編】:『ろくでなしBLUES』作者・森田まさのりが50歳を過ぎてから「M-1グランプリ」に挑戦した理由 (1/5)

累計発行部数5000万部を超える漫画『ろくでなしBLUES』著者の森田まさのりさんが、『べしゃる漫画家』の出版イベントで、『ろくでなしBLUES』にまつわる秘話などを語った。森田さんはなぜ50歳を過ぎてから漫才コンクールの「M-1グランプリ」に出場したのか? 前後編で余すところなくお届けする。

[河嶌太郎, 今野大一,ITmedia]

 累計発行部数5000万部を超える漫画『ろくでなしBLUES』。1988年から97年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載され、東京・吉祥寺にある帝拳高校を舞台としたヤンキーたちによる学園モノ漫画で、ジャンプ史に残る名作だ。主人公・前田太尊の不器用ながらも強くて優しいキャラクター、自分の思いに真っすぐに生きる姿は多くの読者の心をつかみ続けている。

 その『ろくでなしBLUES』やテレビドラマや映画化された野球漫画の『ROOKIES』、お笑いを題材にした学園モノ漫画『べしゃり暮らし』の作者である森田まさのりさんが、9月24日に初めて漫画ではない書籍を上梓した。タイトルは『べしゃる漫画家』。写真家のタカハシアキラさんが、森田さんの日常や活動をレンズに収めたことをきっかけに誕生した本で、2人の共著となっている。森田さんが仕事場で鬼気迫る表情で原稿執筆に集中する様子などを収めたタカハシさん撮影の写真をはじめ、森田さんの仕事観や哲学に触れたインタビューが載っている。

 この本の出版イベントが発売に先立つ形で9月21日、東京都新宿区にある「おとなのジャンプ酒場」で開かれた。森田さんの単独インタビューについては記事の前編である『ろくでなしBLUES』作者・森田まさのりが明かす「人を笑わせる仕事哲学」でお伝えした通りだ。

 加えてこの出版イベントでは、森田さんとタカハシさんのほか、本の構成や原稿を担当したライターの唐澤和也さんの3人が対談し、本の内容に触れながら近年の森田さんのお笑いでの活躍振りや、『ろくでなしBLUES』にまつわる秘話などを語った。

 一体どんな秘話が話されたか。森田さんは近年漫画家としてどんな活躍をして、なぜ漫才コンクールの「M-1グランプリ」に出場したのか。2回に分けて余すところなくお届けする。

phot もりた・まさのり 漫画家。1966年12月22日生まれ。滋賀県出身。1987年「週刊少年ジャンプ」にて『BACHI-ATARI ROCK』初掲載。翌年に連載開始となった『ろくでなしBLUES』で大ブレイクを果たす。その他、代表作は『ROOKIES』『べしゃり暮らし』。お笑いにも造詣が深く、18年に「M-1グランプリ2018」に出場。準々決勝に進出し、全ての予選を通して最も上位に進出したアマチュアコンビに贈られるベストアマチュア賞を受賞した(撮影:斉藤順子)
phot タカハシ アキラ 1980年2月28日生まれ。写真家。東京都武蔵野市出身。本業の他、アニメーター、映像クリエイター、アートディレクション、デザイナー、イラストレーターとして活動している。広告写真で主にポートレートを撮りながら、ストリートスナップをライフワークとしている。PROMAX ASIA 2015 Singapore にて、ウォーキングデッドの日本オリジナル制作アニメCM 『FOX JAPAN - 5 CHANNEL ZOMBIE FESTIVAL』 が "Silver award" 受賞

唐澤: 今日はよろしくお願いします。書籍発売前のリリースに森田さん自身が「何で作ることになったんでしたっけ(笑)?」と書かれていたかと思います。これについて改めて語っていただくとすると、なぜこの本を作ることになったんですか〜?

森田: 僕はもともとしゃべるのがものすごい苦手なんです。だからこんなふうになるとは思っていなかったんですけど、去年漫才コンクールの「M-1グランプリ」に出たんですね。 

 それで僕のM-1のネタが、「何で(漫画家の自分がM-1に出場しているのに)誰も密着してくれないの」っていうネタだったんですけど、実はタカハシさんが密着してくれていたんですね。1回戦から密着していたわけではなかったんですけど、タカハシさんがたまたま応援に来てくれていて、終わってから僕の写真を撮るようになって、そのあとから……。

タカハシ: 打ち上げにちょっとお邪魔させていただいて、先生とお話ししてなかなかこういう現場に立ち会えることはないので、「ちょっと最後まで撮影していってもいいですか」というお話をしました。

森田: それで、ずっと僕の写真を撮っていたというわけです。割と私生活も撮っていませんでした?

タカハシ: そうですね。

森田: うちの仕事場とかも撮ったりしていろいろ写真がたまったので、「これを何か形にできないか」という話になったんですね。「え、僕の写真!?」とは思ったんですけど、集英社さんと相談させてもらって、話をいろんなところに持ち回って、こういう形になりました。

唐澤: 今回の書籍は大きく3部構成になっていまして、1部は森田先生3万5000字インタビューと、ゲストの方が登場する2部、そしてタカハシさんの写真が中心となる写真集的な3部編成となっています。森田さんのオススメポイントみたいなところってありますか〜?

森田: 僕が一番面白いなと思うところは、どこでしゃべったのか忘れましたけども、僕の中学校のときの話で、文化祭のときにクラスのみんなで絵を描く話がありまして。「躍動」っていうテーマで絵を描いたことがあったんです。

 僕のクラスでは、鶴が飛び跳ねている絵を描くことになって、僕ともう一人絵のうまい石橋くんというのが代表して描いていたんですけど、僕は石橋くんの描いた部分が気に入らなくて、僕がそれを消したっていう話があります。クラスの絵ですけど、人に任せるのが何か嫌だったんですね。

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