クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
連載
» 2019年12月16日 07時10分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:自動車メーカーにとっての安全性と、ボルボ (3/5)

[池田直渡,ITmedia]

ボルボのスタンス

 という中でボルボは少し特殊だと思っている。ご存じの通り、「安全」というキーワードは、ボルボというブランドの価値の中で大きな部分を占める。最も有名なのは3点式シートベルトの発明だが、今でも安全への努力において、極めてユニークな取り組みを続けている(16年2月の記事参照)。

 長い取り組みによって、前方衝突による死傷事故は統計的に減りつつある。それはシートベルトのみならず、衝撃を吸収しつつ折りたたまれるステアリングコラムや、エアバッグ、シートの身体保持機能など多岐に及ぶ技術的進歩の成果であるが、そうやって前方衝突による死傷事故が減ったことによって、次に傾注すべき技術の方向をボルボは真面目に研究している。

 居眠り、脇見、衝突などの影響で道路を逸脱した際、クルマは道路外の地形の影響を受けてジャンプすることが多い。そういう事故が起きたとき、飛び上がったクルマが路面に衝突して、乗員の脊椎が縦方向の強い加速度にさらされ、死亡や重度の障害が残るケースが相対的に増えた。ボルボはこうした問題への対策として、シート座面を固定するプレートをクラッシャブル構造にして、脊髄に加わる加速度を軽減する新たな仕組みを構築し、2012年以降にリリースしたニューモデルに順次搭載している。

何らかの事情で道路を逸脱したクルマは大きく跳ね上げられることが多い。これにより脊髄損傷が起こるケースがかなりあるとボルボはいう
脊椎は小さな骨が積み上がってできており、多くの重要な中枢神経(脊髄)が通っている。人体の中でも急所の一つである
座面とシートレールの間に仕込まれた金属パーツの変形によって衝撃を吸収する。もちろん事故後のシートは交換だが、それ以前に車両全体のダメージも軽微とは思えない

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