コラム
» 2019年12月23日 06時00分 公開

短時間勤務者には痛手?:同一労働同一賃金が招く“ディストピア”とは?――「だらだら残業」だけではない、いくつもの落とし穴 (3/5)

[川上敬太郎,ITmedia]

子どもを迎えに行けない状況を生む

 そのため、状況次第では、給与を減らさないよう無理に勤務せざるを得ないという事態も発生してしまいます。例えば、既に有給休暇を使い切ってしまったEさんに、保育園から「子どもが発熱したので迎えに来てほしい」と連絡が入ったとします。

 早退した場合、本来の勤務時間に満たない分の給与を減額されることになります。しかしEさんは、その日の予定を翌日以降に上手に振り分け、最終納期に遅れることなく、一度も残業することなくきちんと仕上げることができたとしましょう。それでも早退した日のEさんの給与は、減額されたまま変わりません。

 上記のような例は、実際に今も日本中の職場で起きていることです。同一労働同一賃金の考え方だけだと、この状況を解決することはできません。

「だらだら残業」を助長する可能性も

 一方、Eさんと同じ職務に従事しているFさんは、毎日残業続きだったとします。残業すれば、当然に残業代がつきます。1日8時間を超えている分は、時給換算で25%が上乗せされます。もしEさんと同じ成果を求められていたFさんが、毎日残業手当をもらいながら職務に従事したにもかかわらず、最終納期に間に合わなかったとしたらどうでしょうか。

 それでも、給与の総額を比較すると、早退したEさんよりFさんの方が多くなるはずです。成果部分を人事評価やボーナス査定で考慮してもらえるのであればまだ救われる面もありますが、そうでなければEさんとしては浮かばれないシステムだと思います。

 さらに懸念されるのは、給与総額を増やすためにあえて残業しているようなケースです。先の例に挙げたFさんが、もし不必要な残業を繰り返していたり、勤務時間中に無駄なおしゃべりが多かったりしたらどうでしょうか。会社としては不要なコストを払っていることになりますし、周りの人にも悪影響が出てしまうことが懸念されます。

だらだら残業を助長する可能性も(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

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