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洪水被害から小売店舗を早期復旧 日本企業の「Microsoft Teams」活用事例業務を効率化するITツールの最新事情(1/3 ページ)

» 2019年12月26日 07時30分 公開

 業務効率を改善し、新しいワークスタイルを提案するITツール群。これまで紹介したツールの中で「Slack」と双璧をなすのが「Microsoft Teams」だ。その最大の特徴は、Microsoftが提供する「Office 365」をベースとし、多くの企業が業務に利用しているOffice製品群との親和性の高さにある。つまり、既存のビジネス環境に組み込みやすいということだ。

 TeamsとSlackのシェアはたびたび話題になるが、多くの人にとって興味があるのは、こうしたツールを使っていかに業務に役立てたのか、という先駆者たちの事例だろう。

 日本国内でどのようにTeams導入が進んでいるのか。日本マイクロソフトの曽根弘明氏と日野成一郎氏、そしてTeamsを含む関連製品全体のマーケティングを統括する春日井良隆氏の3人に話を聞いた。

日本マイクロソフト ワークスタイルイノベーション推進統括本部 ワークスタイルイノベーション推進第一本部 本部長 曽根弘明氏
日本マイクロソフト デジタルトランスフォーメーション事業本部 ワークスタイルイノベーション推進統括本部 ワークスタイルイノベーション推進第二本部 本部長 日野成一郎氏

Teamsの価値はアフターフォローにある

 TeamsにしろSlackにしろ、この手のビジネスチャットツールは、チーム単位で共通のチャンネルを作り、そこに情報を書き込んで共有するというのが基本的なスタイルだ。そのため、Microsoftは過去にも「Communicator」「Lync」「Skype for Business」といった名称で対人チャットツールを世に送り出してきた。ただし、今回のTeamsは同社における位置付けが少し異なるという。

 例えば、顧客のツール導入、ならびに業務改革支援を行う「カスタマーサクセス」と呼ばれる部隊では、Office 365(Microsoft 365)の製品の1つとしてTeamsを売り込むのではなく、各製品の中核に位置付けられるものとしてTeamsを大々的にアピールしていくことがミッションになっている。

 「もちろんカスタマーサクセス(顧客の成功)が最も重要なことであり、Teamsを売ること自体が目的ではありません。ただ、Microsoft 365だけでなく、DynamicsやAzureなど、Microsoftのアプリケーションやクラウド製品全般をつなげる中心製品にTeamsがなりつつあり、戦略的に取り上げているのです」と日野氏は説明する。

 曽根氏と日野氏の属するカスタマーサクセスの部隊では、販売後の利活用促進が重視される。単純にチーム間のコミュニケーションにとどまらず、実ビジネスに即した業務アプリケーションとの連携や改善提案が重要だと両氏は語る。

 Teamsの単純な利用例でいえば、Teams上にファイルを貼り付けてチーム間で情報共有を行い、それを適時呼び出して編集するといった使い方が多いだろう。ただ、両氏が率いる部隊は、自動車を含む製造業、資源、エネルギー、通信メディア、金融、小売、運輸、ヘルスケア、公共関連まで、アカウント営業のように複数の大手顧客を抱えており、それぞれに対して最適な提案を行っている。

 例えば、コーディング不要でビジネスアプリケーションを構築できる「Power Apps」を利用し、これで構築されたアプリケーションをTeams上で連携できるようにしたり、特定の定例タスクを「Microsoft Flow」という自動化ツールでスムーズに処理できるようにしたり、あるいはBOTなどの仕組みを介してアプリケーションを操作できるようにしたりと、ちょっとした業務改善や自動化の仕組みをTeamsと連携させる形で組み込んでいく。

Microsoft Power Apps
Microsoft Flow

 このようにシステムの一部としてTeamsを組み込むことで価値を出したり、あるいは(必然的に)ユーザーが利用する環境を整備して利用拡大を促したりと、単純な導入にとどまらず、付加価値を重視しているのが目を引く。

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