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洪水被害から小売店舗を早期復旧 日本企業の「Microsoft Teams」活用事例業務を効率化するITツールの最新事情(3/3 ページ)

» 2019年12月26日 07時30分 公開
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興味深い事例

 2019年は東日本を中心に台風などの天災に見舞われた年だったが、Teamsの利活用で洪水被害から小売店舗を早期復旧できたという事例もある。

 許諾が得られていないため企業名は伏せるが、フランチャイズを展開するその小売は複数の地域に店舗を展開しており、一連の洪水で被災した。被害地域の店舗は壊滅的な打撃を受け、会社が入るオフィスも被害を受けたが、エリアごとに連携するためのチームを編成し、Teams上で情報共有を行うことで復旧がスムーズに進んだという。実際、10月12日の被災から1週間程度で営業再開まで持ち込めており、競合他社が復旧に手間取るなか、「何が問題なのか」をいち早く共有することで対策が行えたのだという。

 Teamsを含むMicrosoft 365の製品マーケティングを担当し、最近では教育分野でのデジタル利活用を推進している春日井氏は、この他にもいくつか興味深い事例を紹介している。

 1つは「Teams for Education」の学校現場での利用状況で、戸田市立戸田東小学校のケースでは、OneNoteを使った授業を進めている。基本的には共同学習で、日々の日記や課題をPC上のOneNoteで書き進めていくという内容だ。先生が一方的に課題を与えるのではなく、周囲の進行状況を含めて生徒間で互いの情報を交換する仕組みとしてTeamsを採用することで、「共同で編集する」というビジネスや日常における基本作業の入り口としての学習に期待しているようだ。

Microsoft 365ビジネス本部 製品マーケティング部 エグゼクティブ プロダクト マネジャーの春日井良隆氏

 同氏が紹介するもう1つの興味深い事例は、Concentというデザイン会社の事例だ。企業が運営するWebサイトのリニューアル作業などを請け負う会社だが、スタッフの数が200〜300人程度と、この手のデザイン会社にしては大所帯。社内にはプロジェクト単位のチームが編成され、そのチームでの情報共有のほか、社内の部活動での情報交換にTeamsが利用されているという。

 ここでは全盲のデザイナーが在籍しており、Teams上で公開される情報はスクリーンリーダーと呼ばれる音声読み上げ機能を使って把握しているとのこと。近年Microsoftはアクセシビリティーに力を入れており、特に問題なく使えているということで、TeamsならびにWindowsならではの特徴としてアピールできる点だと同氏は話す。

 今回、日本マイクロソフトが共通して述べていたのは、「Teamsはあくまでツールの1つであり、各ユーザーが必要とする問題解決のシナリオの中でうまく当てはめてほしい」ということ。ビジネスチャットツールは、クラウドやビジネスアプリケーションを呼び出すための「入り口」としての役割も担う。Teams導入のきっかけは、Office 365を活用する延長や、間もなくサービスが終了するSkype for Business Onlineを含む既存ツールの置き換えなど理由はさまざまあるが、他製品との連携をどう生かしていくかが利活用のポイントと言えそうだ。

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